(※写真はイメージです/PIXTA)

ドル/円急落により「円安トレンド」の転換をも予感させる現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、今週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな「注目の経済指標」について、東京海上アセットマネジメントが解説します。

利上げに踏み切るとの見方が高まる

なお、市場では、日銀が今会合で利上げに踏み切る、との見方が高まりつつあります(図表4)。

 

OIS金利先物が織り込む政策金利予想(日銀会合開催月別)
[図表4]OIS金利先物が織り込む政策金利予想(日銀会合開催月別) 出所:Bloomberg

 

FRBが30日、31日に開催するFOMCでは、FFレートの誘導目標(政策金利)が5.25〜5.50%に据え置かれることが予想されています。今回の会合で注目すべきは、記者会見でのパウエルFRB議⻑の発言です。

 

ここ数ヵ月の経済データが、労働市場やインフレ率の減速を示しており、市場では9月にもFRBが利下げを開始する、との見方が高まっています。ここ数週間、FRB高官は利下げに向けた地ならしを始めており、パウエルFRB議⻑も、9月FOMCでの利下げを示唆するか注目されます。

 

7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+17.5万人と、6月(同+20.6万人)から増勢が鈍化することが予想されています(非農業部門雇用者数の推移は図表5参照)。

 

非農業部門雇用者数と失業
[図表5]非農業部門雇用者数と失業 出所:Bloomberg

 

6月の雇用統計では、すでに公表されている4月(前月差+16.5万人→同+10.8万人)、5月(前月差+27.2万人→同+21.8万人)が下方修正され、4-6月期の雇用者数(平均)は+17.7万人と、2021年1月以来の低水準となりました。7月の雇用統計においても、労働市場の減速が鮮明となるのか注目しています。

 

他方、パウエルFRB議⻑は10日の議会証言で、「インフレ率を下げることだけが目的ではない。労働市場の動向にも留意する必要がある」と発言したほか、クックFRB理事は10日の講演で、失業率について「非常に注意している」としたうえで、その悪化がみられれば「対応する」と述べるなど、労働市場に予想外の弱さがみられれば、利下げに踏み切る可能性を示唆しています。

 

7月の失業率は、4.1%と6月から横ばいとなることが予想されているものの、FRB高官が示唆するように、労働市場が急速に悪化(失業率が急上昇)し、急速に景気が減速する可能性がある点には、留意が必要です。

 

失業率から景気後退の可能性を推し量るサーム・ルールというものがあります。現状、失業率の3ヵ月移動平均(4.0%)と過去12か月の最低値(3.6%)の差は0.4%と、景気後退入りの目安とされる0.5%を下回っているものの、7月の失業率が4.2%へ上昇すれば、(サーム・ルールに基づく数値は0.5%となり)景気後退入りのサインが点灯することになります(図表6)。

※失業率の3か月移動平均が過去12か月の最低値から0.5%上昇した時に景気後退が始まるとする法則

 

失業率の推移
[図表6]失業率の推移 出所:Bloomberg、NBER(全米経済研究所)

 

 

東京海上アセットマネジメント

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが注目…8月第1週の為替相場にインパクトを与える「重要な経済指標」』を参照)。 

 

※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。

※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。

 

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