(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の暮らしを支える年金。受給者のなかには受給額が少ない人もいます。年金額が少ない人にはそれぞれに原因があって……。本記事では、安達さん(仮名)の事例とともに、高齢期に入ってからでも老後資金を増やせる方法についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

2人とも年金生活に入ると…

晴美さんの年金の受給額の見込みは、月額で約3万円程度だったのです。晴美さんは前の夫と結婚している期間は国民年金保険料を納めることができず、未納が続いていました。そして、離婚後は生活保護を受けながら納付免除を受けていたため、免除期間中の分の年金額は半分になります。これにより、年金の月額はたったの3万円となってしまうと見込まれ、晴美さんの分の加給年金年額約40万円も給付されなくなってしまうのです。

 

夫婦の年金額を合計しても月15万円程度しかなく、都内で切り詰めて生活しても毎月の支出は20万円ほどは必要、毎月5万円程度が赤字になってしまいます。

 

また、安達さんの資産は500万円ほどで、いまは減らさずに生活できていますが、2人とも年金生活に入ると8年ほどで資金が枯渇してしまいそうと予測されます。短時間でなにかできる仕事はないかと考えて仕事を探してはいますが、年齢が理由でなかなか採用に至りません。

 

少ない公的年金のなかでどう生活していくか、安達さんは頭を抱えるのでした。

年金未納への穴埋め

まず、今回の安達さんの問題点として、公的年金の受給額を事前に把握せず、老後にどの程度お金が足りないのかを把握しないまま老後を迎えてしまったことがあげられます。

 

妻の晴美さんは、結婚後に扶養に追加されて年金保険に加入していましたが、それまでに未納期間、また免除を受けていた期間があり、公的年金が通常よりも少ないことは十分予測できたことです。

 

また、現在は勤務時間が週20時間以上でも厚生年金に加入することが義務付けられている会社もあります。週20時間を超えて働いていれば厚生年金を将来受け取ることができるだけでなく、国民年金の保険料を未納だった期間、減免を受けていた期間で減額されている基礎年金に相当する分を経過的加算として上乗せして受け取ることができ、未納や減免期間の分の年金の穴埋めが可能なのです。

 

そのため、勤務時間を少しだけでも増やして厚生年金に加入することで老後の年金を増やすことが可能です。これは、いまからでも遅くないことです。そして、公的年金は最長で75歳まで繰下げして受給することができ、それによって受給額を増やし、収入を増やすことも可能です。まだ公的年金を受給開始していない妻の晴美さんは今後検討すべきことでしょう。

 

夫婦で働いて収入を得て、可能な限り資産形成を行い、妻の晴美さんの厚生年金加入と公的年金の繰下げも活用しながら、一生黒字でいられる計画を順序立てて考えることが必要です。

 

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