まだまだ整備されてないフィリピンの情報インフラ
本章の冒頭(書籍参照)で述べた通り、そもそもフィリピンにはコンドミニアムの管理を行う会社はあっても、日本の管理会社のように不動産投資物件の管理運営を委託する会社はありません。
日本では、売買仲介の会社、管理会社といったように不動産会社でも不動産投資物件を仲介する会社、賃貸の客付けをする会社、管理運営を行う会社と役割分担があります。
現状でフィリピンには、賃貸の管理会社がほとんど存在せず、あるのは各コンドミニアムの管理会社で、日本の管理組合に当たる物件全体の管理を行う会社です。
売買仲介から内装手配、賃貸仲介、物件管理までワンストップで行っている私たちの会社のような形態は数少なく、日本人以外の会社ではほとんど聞きません。
投資物件の運営を丸投げできる管理専門の会社がないフィリピンにおいて、最大のリスクとなり得るのが入居付けの問題です。その解決策は、ポータルサイト活用にあります。
フィリピンの情報インフラはまだまだ整備されていない状態です。不動産についても、オーナーが効率的に入居希望者を探せるシステムが構築されていません。
またネットを使った広告のレベルも低く、プッシュ型の案内や広告はまず見かけません。
たとえば、ある若者がフィリピンエアラインに就職が決まったとします。彼に「おめでとうございます! あなたの職場の近くにこんなステキな物件があります。○月△日までなら仲介手数料を無料にします!」というようなサービスを行えば効果的ですが、そういった広告はありません。
ニーズがあっても、お客様に情報を届ける手段が少ないのです。しかし逆に、そこにはビジネスチャンスがあります。
幅広い層へアピールできる「クラウドコミュニティー」
私たちの会社では、2014年の10 月から不動産総合マッチング事業として『ハロハロホームレンタル』というサイトをオープンさせました。まだ未成熟ではありますが、「買う・借りる・売る」といった不動産投資のトータルサポートサイトとして、フィリピン初の取り組みを行っています。
そして2018年4月1日からスタートする、クラウドコミュニティーというサービスでは、「ハロハロアライアンス」すべてに通用するポイントを流通させます。簡単に説明すると、「ハロハロポイント」の発行です。ハロハロポイントは、物件探しはもちろん、ショッピングにも使える、言わば日本の楽天ポイントのようなサービスです。
将来的にはルームメイキング、ランドリー、クッキング、ショッピング、果てはドライバーシェアリングから配車手続きまで、様々な支払いの代行サービスが可能になり、フィリピンの一般の人も使えるようにします。
このようなサービスは、世界中どこを探してもありません。日本で実現してほしいという声も聞かれますが、人件費が高くてとても無理なのです。
ターゲットは駐在員、フィリピン人のエリート層、現地採用の外国人といったユニットを契約した顧客になりますが、彼らに「こんなサービスがあったらいいな!」という顧客満足度の最大限化を図ります。これは日本の「テナントリテンション」の感覚に近いでしょう。
またクラウドコミュニティーのサービスは、入居者だけでなく一般国民をも視野に入れているのが特徴です。これによりショッピング客にまで、幅広い層へアピールできます。
フィリピン不動産投資と言えば、キャピタルゲイン狙いのイメージが先行して、堅実にインカムを稼いでいく投資手法がまだ認知されていません。
実際、フィリピン不動産で客付けに対して、私たちのような取り組みを行っている企業は存在しません。目先の利益や小手先の空室対策ではなくて、日本人駐在員、外国人労働者、フィリピン国民すべてを対象としたマーケティングを行い、フィリピン投資での成功を目指すだけでなく、私たちがパイオニアとなって新しい賃貸マーケットをつくり上げていこうと考えているのです。