税務署が不正行為を見逃さないワケ
税務調査では、会計処理は適正であるか、また収益の計上時期や内容に漏れなどがなく、納税が正しく行われているかについて調べられます。
この調査の過程で脱税がバレてしまうこともありますし、今回のように、社長すら気づいていなかった社員による横領が発覚するケースもあります。
税務調査官は、国税局のデータベースや本人の長年の経験から、申告漏れが起きやすいケースや税金をごまかそうとする手口については熟知しています。また、同業他社の申告状況なども把握しているため、業種によってどのような経費がどの程度計上されるのかというのもある程度把握しています。
したがって、同業他社と比べて外注費の比率がやけに高い、現金収入がほとんど計上されていない、といった事業者は、税務調査の対象に選ばれやすいです。
また、ある法人の調査を行った際に、取引先に多額の外注費を支払っているにもかかわらず、取引先では収益として計上されていない場合などは、調査対象となる可能性が高いでしょう。
このほか、従業員や第三者からのタレコミにより情報をつかんでいるようなケースも存在します。
近年ではDXが進みデータがクラウド上に保存されていることも多く、これまでバレにくかった不正行為なども発覚しやすくなっているようです。
信じていても…従業員の不正は「身近」な問題
にわかには信じがたいことかもしれませんが、役員や従業員の不正は、皆さんが思っている以上に起きています。金額が大きい場合はニュースになりますが、ニュースにならないレベルの横領などはあちこちで起こっているといっても過言ではありません。
東京商工リサーチの資料によると、2023年度に不適切会計を開示した上場企業は62社ありました。
もっとも多かったものは、経理や会計処理の「誤り」などで30件。次いで多いのが子会社・関係会社の役員・従業員による「着服横領」で、21件あります。ちなみに第3位は架空売り上げの計上などの粉飾で、件数は11件です。
また、警察庁の「刑法犯に関する統計資料」によると、業務上横領の検挙数は令和2年だけで1,200件ほど発生しています。
表に出てない事件も含めると、従業員の横領や不正行為は身近な問題として捉えたほうが無難かもしれません。
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