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相続税対策として押さえておきたい「小規模宅地等の特例」。「特定居住用宅地」と「貸付事業用宅地」の2つの種類の小規模宅地等の特例を併用適用することができますが、具体的にどのように計算すればよいのか、また適用できる小規模宅地等の特例が複数ある場合、どのような組み合わせが最も有利になるのか悩みどころ。相続専門税理士が詳しく解説していきます。

小規模宅地等の特例を併用適用する場合の注意点

小規模宅地等の特例を併用して適用する場合、いくつかの注意点があります。これらの注意点を失念すると、後から大きく損をしてしまったり相続人間でのトラブルの元となってしまう可能性があります。

 

配偶者控除等、相続人固有の控除がある場合の有利判定は要注意

前出「2.64倍で簡単判定!選択適用の有利判定を簡単に行う方法」で解説をした方法で、相続税の課税価格が最も低くなる宅地は選択することができます。通常、課税価格の合計額を最も小さくすれば相続税の総額も低くなりますが、これには例外もあります。

 

小規模宅地等の特例を適用する宅地を相続する相続人が、配偶者控除等の相続人固有の控除特例を受けるケースです。配偶者は1億6,000万円もしくは法定相続分までは無税で相続財産を取得できるという配偶者の税額軽減(配偶者控除)と呼ばれる大きな控除特例が適用可能となっています。

 

この配偶者控除と小規模宅地の特例は併用して適用が可能であるため、配偶者控除の特例の上限枠がまだ余っているような状態では、課税価格の合計額が例え高くなっていたとしても、トータルの相続税の納税額が低くなるケースがあります。

 

ただ、この有利判定を行うのは簡単ではないため、最終的に遺産分割が決まった段階で、具体的に各人の相続税を計算してみるしかないでしょう。専門家である税理士でさえ、この計算間違いはやってしまいがちですので注意が必要です。

相続人間で少しでも争っている場合は要注意

小規模宅地等の特例は、先にも述べました通り選択適用が可能です。一般的にはトータルの納税額が低くなるように選択適用を行いますが、各相続人の目線で見ると、「トータルの納税額が低い = 自分が有利」とならないこともあります。

 

特例を適用した土地を相続した相続人の相続税は、他の相続人に比べて大幅に下がります。つまり、どの宅地に小規模宅地の特例を適用するかの選択によって、ある相続人にとっては有利だけれど、ある相続人にとっては不利という事態が起こり得るのです。

 

そのため、どの宅地に小規模宅地の特例の適用を行うのかということは、相続人すべての合意が必要となります。相続税申告業務を行っている税理士であれば、この点をきちんとすべての相続人に説明する責任及び義務がありますので注意が必要です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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