※画像はイメージです/PIXTA

相続税の計算に大きく影響を及ぼす節税効果の非常に高い「小規模宅地等の特例」。しかし、適用を間違えば、相続税の払い過ぎや多額のペナルティが課せられる恐れがあるので、間違いのないよう確実に理解しておきたいもの。今回、被相続人は老人ホームに入居、自宅は長年空き家の状態だった場合の「小規模宅地等の特例」の取り扱いについて解説していきます。

老人ホーム×空き家…3つの要件を満たしていれば特例適用

亡くなった故人(被相続人)が生前に老人ホームへ入居し、自宅が空き家の状態になってしまっていたとしても、次の3つの要件を満たしていれば特定居住用宅地として小規模宅地等の特例が適用可能となります。

 

相続開始時点で“要介護”の状態であったこと

相続の開始時点(死亡時点)で、被相続人が“要介護認定”又は“要支援認定”を受けている必要があります。つまり、健康な状態で老人ホームへ入居していた場合等は小規模宅地等の特例の適用が受けられないということになります。なお、要介護1・2・3といった程度は問われません。

 

入所する老人ホームが“一定の要件”を満たすこと

入所する有料老人ホームはどこで良いというわけではなく、“一定の要件”を満たしている必要があります。具体的には、国税庁のHPから抜粋した以下の要件のいずれかに該当する必要があります。

 

ただ、実際はほぼすべての有料老人ホームは以下のどれかに該当します。入居していた老人ホームが以下に該当するかどうかの一番簡単な確認方法は老人ホームに直接問い合わせてみるのが良いでしょう。

 

気を付けなければいけないのは、稀に無許可で営業している老人ホームがあるということです。そういった老人ホームへ入居していた場合には小規模宅地等の特例が適用できませんので注意が必要です。

 

なお、きちんと届出がされているかどうかを確認する方法は市区町村のHP等で具体的に施設名の一覧がありますのでそちらで確認することも可能です。

 

(イ)老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム

(ロ)介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設又は同条第29項に規定する介護医療院

(ハ)高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅((イ)の有料老人ホームを除きます。)

ロ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法第5条第11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限ります。)又は同条第17項に規定する共同生活援助を行う住居に入所又は入居をしていたこと。

出所:国税庁-No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋

 

老人ホームへ入所した後の自宅を他人に賃貸したりしないこと

故人が老人ホームへ入所した後の自宅について、“他の用途”に利用されていないことも要件となります。例えば、第三者に賃貸したような場合には特定居住用の小規模宅地等の特例が適用できなくなります。

 

ただし、例外的に生計一の親族が老人ホームへ入所後に引っ越してきた場合で家賃の授受を行っていない場合には特定の適用が可能です。生計が別の親族が引っ越してきたり、事業用にしようしていたような場合には適用が不可となりますので注意が必要です。

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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