税理士「無理に法人化する必要はない」…個人の不動産投資家“だけ”に与えられた「5つ」のメリット

税理士「無理に法人化する必要はない」…個人の不動産投資家“だけ”に与えられた「5つ」のメリット
(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資が軌道に乗り、「法人化」のタイミングをうかがっている方も少なくないでしょう。しかし、一概に「個人」より「法人」のほうがいいかというと、そうともいえません。今回は、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が、「個人」で不動産投資を行う場合のメリット・デメリットについて解説します。

個人で不動産投資をする「5つ」のメリット

――ここまでの話を聞いていると、小規模の不動産投資を行う場合は、個人のほうがよさそうな感じがしますね。

 

黒「そうですね。不動産投資で法人化するなら、ある程度の条件を満たしてからのほうがいいと思います。個人で不動産投資をする場合もさまざまなメリットがあるので、無理に法人化する必要はないといえます」

 

――では、個人で不動産投資を行うと、具体的にどのようなメリットがあるんですか?

 

黒「個人で不動産投資を行う場合、下記のようなメリットがあります。

 

●青色申告特別控除が受けられる

●家族への給与を経費にできる

●関連する費用を経費にできる

●不動産所得を損益通算できる

●長期譲渡所得が適用される

 

以下でそれぞれ詳しく解説していきますね」

 

1.青色申告特別控除が受けられる

黒「個人で不動産投資をする場合、『青色申告特別控除』が受けられます。青色申告特別控除とは青色申告をしている事業者に適用されるもので、最大65万円の控除を受けることができます。

 

たとえば所得税率が33%だった場合、住民税も合わせると43%の税率になります。この場合、65万円の控除で65万円×43%=28万円ほど税金を下げる効果があるのです」

 

――これはかなり大きいですね。不動産収入が多くて税率が高いほど、青色申告特別控除が効いてくるってことですね!

 

黒「そうですね。ただし、最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、不動産投資が「事業的規模」である必要があります。「事業的規模」であると認められなかった場合は65万円控除は使えず、控除額は10万円になります」

 

――そうなんですね。不動産投資が「事業的規模」だと認められる条件はなんですか?

 

黒「我々の業界では『5棟10室』と呼ばれているのですが、戸建て5棟以上、またはアパート等の部屋数10室以上を保有している場合、『事業的規模』ということになっています。『5棟10室』が絶対ということではありませんが、これくらいの規模であれば事業を行っているといえます」

 

――なるほど。不動産経営で青色申告特別控除最大65万円が適用される基準は、「5棟10室」程度ということですね。

 

2.家族への給与を経費にできる

黒「これは『青色事業専従者給与』というもので、家族に支払った給与を全額経費にできるという、青色申告の特典のひとつです。ただし不動産貸付業の場合、さきほどと同様『事業的規模』であることが条件です」

 

3.関連する費用を経費にできる

また、個人で不動産投資を行う場合、不動産投資に関連する費用は経費にすることができます。

 

たとえば、

 

・勉強会の参加費

・書籍代

・物件視察のための交通費

 

こういったものは経費計上が可能です。このほか、物件の修繕費や管理費、賃貸仲介会社に支払う仲介手数料なども経費にすることができますよ」

 

――不動産投資は他の投資よりも費用がかかりがちですからね。こういった費用が経費にできるのはありがたいですね!

 

黒「ただし、経費にできるのはあくまで不動産投資に関連するものだけです。特に不動産投資では、他の事業のように取引先と関わるようなことが少ないので、接待交際費などは経費として認められないことが多いです」

 

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※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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