※画像はイメージです/PIXTA

相続税の計算に大きく影響を及ぼす節税効果の非常に高い「小規模宅地等の特例」。しかし、適用を間違えば、相続税の払い過ぎや多額のペナルティが課せられる恐れがあるので、間違いのないよう確実に理解しておきたいもの。今回、被相続人は老人ホームに入居、自宅は長年空き家の状態だった場合の「小規模宅地等の特例」の取り扱いについて解説していきます。

相続税申告の際に税務署に添付書類として提出する書類一覧

(1)被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)

(2)介護保険の被保険者証の写しや障害者福祉サービス受給者証の写しなど

(3)施設への入所時における契約書の写しなど

 

被相続人が老人ホームへ入所していた場合で小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、相続税申告書を税務署に提出する際に必要となる添付書類があります。それが上記の3つの書類です。以下、順番に詳しく説明していきます。

 

(1)被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)

“戸籍の附票の写し”とは、その戸籍にいる間の住所の移転履歴を記録した書類となります。本籍地の役所で取得することが可能です。なお、相続開始(死亡)日以降に取得の申請を行う必要があります。

 

また、老人ホームへ入所した時点からの住所の移転履歴が確認できる必要があるので、老人ホーム入所後に仮に本籍地を転籍している場合には複数の戸籍の附票の写しが必要となります。

 

(2)介護保険の被保険者証の写しや障害者福祉サービス受給者証の写し等

被相続人が、要介護もしくは要支援の状態であったことを証明するための書類として、介護保険の被保険者証の写しや障害者福祉サービス受給者証の写し等が必要となります。

 

なお、介護保険の被保険者証や障害者福祉サービス受給者証を紛失してしまっている場合には、市区町村役場に申請して別途要介護もしくは要支援の状態であったことを証明する書面を出してもらうことも可能です。

 

(3)施設への入所時における契約書の写し

被相続人が相続開始の直前において入居又は入所していた住居又は施設の名称及び所在地並びにその住居又は施設が次のいずれに該当するかを明らかにする書類として、入所時の契約書のコピー等が必要となります。

 

契約書を紛失してしまったような場合には、施設に対して契約書のコピーの交付をしてもらう等の対応が考えられます。

最終的な適用可否の判断は専門家へ

被相続人が老人ホームへ生前に入所していても、一定の要件を満たせば特定居住用宅地として小規模宅地等の特例の適用が受けられるということを解説してきました。

 

ただし、適用を受けるためには添付書類が必要となり、また要件についても様々な検討が必要になります。自分で判断したり相続税に詳しくない税理士に相談すると、本来適用できるはずが適用できないと判断して申告してしまったり、その逆で本来適用できないところに適用してしまい、のちに税務署に指摘されて修正申告をしなければならなくなる可能性があります。いずれの場合においても、小規模宅地等の特例は相続税額へ与える影響が大きいため、過大な申告や多額のペナルティに繋がってしまいます。

 

素人判断で適用の可否を決定するのは危険ですので、必ず、相続税に強い税理士に相談するようにしましょう。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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