老後の幸福度を左右するのは「デジタルの壁」!? 日本の高齢者は“世界一”賢くてお金持ちと言えるワケ【原田曜平×和田秀樹】

老後の幸福度を左右するのは「デジタルの壁」!? 日本の高齢者は“世界一”賢くてお金持ちと言えるワケ【原田曜平×和田秀樹】
(※写真はイメージです/PIXTA)

1990年代半ばまでは、日本の中学生の「数学力」が世界でトップレベルだったことをご存じでしょうか。その世代が後期高齢者となったことで、現在「賢くお金持ちな高齢者」という層が非常に厚くなっています。そこで本稿では、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを務めた経験もあるマーケティングアナリストの原田曜平氏による著書『「シニア」でくくるな! "壁"は年齢ではなくデジタル』(日経BP)から一部抜粋して、原田氏と精神科医の和田秀樹氏による「日本の高齢者」についての対談をご紹介します。

日本の高齢者は世界一賢くて金持ち

原田:今回、私がこの本をつくろうと思ったのは、本書の中でも述べている通り、平成時代の中期、マーケティングの世界で「アクティブシニア」というキーワードが叫ばれ、大流行したことがきっかけです。

 

蓋を開けてみると全くそんなことはなく、思っていたように盛り上がらなかったのです。高齢者の人口が多くなり、その人たちがみんなアクティブになると思い込んでいたのが敗因です。

 

そこで同じ轍を踏まないために大事だと考えたのが、きちんと実態を調べること。当然のことですが、高齢者の中にはアクティブな人もそうでない人もいます。

 

調査をしてそこをしっかり見極めることが肝心であり、その上で、どの層を狙うのか分析して実践することが重要だと思ったのです。

 

和田:その調査は、今だからこそ非常に意義があると思います。というのも、歴史的背景から見ると、現在の日本の高齢者は〝世界で一番頭がいい〞と言えるからです。

 

1990年代半ば、数学力で日本の中学生がトップの座を明け渡し、代わりに躍り出たのが韓国や台湾でした。

 

そのため、今の40歳前後より下の世代は韓国や台湾のほうが勉強はできるといえます。現役世代の主力の頭がいいわけですから、彼らがITで世界をリードするのは当然の帰結です。

 

その意味で、日本が高度経済成長からバブル期まで繁栄できたのも、一般労働者の頭が良かったからです。

 

特に、それが顕著に表れたのが今の団塊の世代です。若い時分に史上空前の受験戦争を経験し、同い年260万人のうちその多くが大学受験をしています。大学の定員は今よりずっと少なかったので、大学進学組は秀才ぞろいです。かつ、大学に行けなかった人も頭が良い。

 

その団塊の世代が後期高齢者になり、その下の高齢者も長年数学力で世界のトップを維持してきた世代ですから、今の高齢者の知的レベルは世界で一番高いといえるわけです。

 

加えて、団塊の世代は終身雇用、年功序列でしっかりとお金を貯めてきた高齢者です。これほど賢く、お金を持っている高齢者が固まりでいる国は、他に見当たりません。今こそ、原田さんの調査と分析を参考にして、高齢者マーケティングを仕掛けるときだと私は思います。

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「シニア」でくくるな! "壁"は年齢ではなくデジタル

「シニア」でくくるな! "壁"は年齢ではなくデジタル

原田 曜平

日経BP

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