実は金を使いまくる高齢者
高齢者消費のインパクトを見ておきたい。いかに総人口に対する割合が大きくても、彼ら、彼女らが消費をしてくれなければ、企業のターゲットにはなり得ない。
だが、総務省が実施した2023年家計調査によると、60代以上の消費支出の割合は既に約50%に達している。区分が60〜69歳、70歳以上となっているため、65歳以上という高齢者の定義とは若干ずれるが、大雑把には合致していると考えて差し支えはないだろう。
すなわち、単に人口割合が多いだけでなく、消費割合でも高齢者は主要プレーヤーに躍り出ているのが実態だ。
また、年間の収入は50〜59歳を境に減少傾向にあるが、貯蓄がそれを補う点も消費を考える上でメリットとなる。60歳以上の平均貯蓄額は、50〜59歳の実に約1.4倍となっている。
消費の財源は、年収に加えて貯蓄からの切り崩しが想定され、年収減少のデメリットを補完できる可能性は十分にある。
加えて、近年の傾向として高齢者消費の追い風となるのが、65歳以上の就業者が増加していることだ。近年、話題となった「老後2000万円問題」や「人生100年時代」など、国が喧伝(けんでん)するスローガンに踊らされている感もあるが、現実として家計を補う観点から、もはや高齢になっても仕事を続けるのが、当たり前のライフスタイルになりつつある。
実際、内閣府の調査では、65〜69歳の半数、70〜74歳の3割強が働き続ける選択をしている。
今後も就業増によって高齢者の年間収入が増加し、現在より消費支出が活発化することも予想されるのだ。