今後20年が、高齢者マーケティングの〝黄金期〟
さらに、言及すべきことがある。それは平成と令和では、高齢者像が激変することだ。まず、平成とは主役が交代する。高齢者のボリューム層となるのが、団塊の世代以降の戦後世代だ。
現在、75歳以降の後期高齢者になりつつある団塊の世代に加え、新たに高齢者として流入してくるのが、DCブランドブームに明け暮れ、憧れの新婚旅行先が従来の熱海からハワイに変わった「しらけ世代」。
さらに、高度経済成長期に育ったため消費意欲が高い「新人類世代」、そして、昭和末期の好景気を体感した「バブル世代」など、従来の高齢者より消費を好む世代が隊列を成して続々と高齢者市場に参入してくる。
いわば、消費志向が高い高齢者の人口ボーナスが、令和の時代は続くのだ。
後に続く、団塊ジュニア世代は、人口が多いため高齢者ボリュームの増加には貢献するが、この世代は、バブル崩壊後の就職氷河期を経験し、その後の世代も、日本が長いトンネルに入る「失われた30年」を生きたロスジェネであり、消費という点ではどちらかといえば「堅実志向」だ。
言ってみれば昔の日本人像に逆戻りしている。団塊ジュニアからゆとり世代までは人口ボリュームも減ることから、高齢になったときの消費はあまり期待できないかもしれない。
そうした点で見ても、団塊の世代、しらけ世代、新人類世代、バブル世代と続く今後約20年が、高齢者マーケティングにとっての黄金期になる可能性は十分にある。日本の高齢者マーケティングは、今からが本番なのだ。
原田 曜平
マーケティングアナリスト/芝浦工業大学デザイン工学部教授