ビジョンを社員に作らせる企業はなぜうまくいかないのか?
「社員の意見をもとにビジョンをつくろう!」
「ボトムアップで“全員参加型”のビジョンをつくろう!」
「社員みんなでビジョンをつくるんだ!」
近年では、そうした手法で会社のビジョンを作ろうとする企業が増えているようです。日本でもビジョンの重要性が認識されるようになった昨今、今では多くの企業がビジョンを掲げているのですが、一方で、うまくいっているケースは少ないように感じます。
経営者が自らビジョンを掲げ、それをどうにか社内に周知させようとするのですが、浸透させることもそれを日々の行動に落とし込むこともできていない……。耳が痛い経営者や幹部も多いのではないでしょうか。
そこで今度は、ビジョンを社員に作らせようと考えます。冒頭の言葉にもありますが、「社員の意見」「ボトムアップ」「全員参加」などは聞こえがよく、社員の“ウケ”もいいかもしれません。
ただ、果たしてそれで本当に、会社にとって最適なビジョンが作れるのでしょうか?
社員のエンゲージメントを高めるという意味では、そうした方法もアリでしょう。一方で、誤解を恐れずにいうと、いつ辞めるかわからない社員にビジョンを作らせることは経営者にとって大きなリスクであるといわざるを得ません。
もし社員の大半が入れ替わってしまった場合、そのビジョンは本当の意味で会社を導く指針になるといえるのでしょうか。あるいは、そのビジョンを心から受け入れ、「長期・中期・短期」の行動へと落とし込み、会社を発展させていくことができるのでしょうか。
やはり難しいのが実情でしょう。そこに、全員参加型のビジョン形成における“落とし穴”があるのです。
それならやっぱり社長が一人で作ればいいのでしょうか。いいえ、そうではありません。それでは従来の独りよがりのビジョンになりやすく、いわゆるトップダウン型の方針を社員に押しつけることになります。それはよくある「掲げてはいるが機能していないビジョン」に他なりません。
問題は「なぜビジョンを作るのか?」という点についての理解が不十分であること。加えて、ビジョンの創造と社内への浸透、さらには日々の業務に落とし込むための流れ、つまり方法論が意識されていないことが問題なのです。
私自身、多くの企業でビジョン形成の過程を見てきましたし、自分が経営した会社でもビジョンを見よう見まねで作ってきました。そのなかで、あらかじめ上記の点に配慮しておかなければ、機能するビジョンを作るのは難しいと実感しています。
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