「全員参加」「ボトムアップこそ大事」は本当? 企業の将来像を示す「ビジョン」を社員に作らせようとするとうまくいかないワケ【起業家が解説】

「全員参加」「ボトムアップこそ大事」は本当? 企業の将来像を示す「ビジョン」を社員に作らせようとするとうまくいかないワケ【起業家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

全社員が同じ方向を向き、会社を持続的に成長させていくために欠かせない「ビジョン」。そんなビジョンも、ただ掲げているだけでは意味がありません。ビジョン策定の方法には様々なものがありますが、その多くは“機能しない”ビジョンを生み出しているのが実情です。そこで本記事では、世界で25万社以上が活用する起業家のための経営システム「EOS(the Entrepreneurial Operating System)」の専門家である久能克也氏が、ビジョン策定の問題点と具体的な方法について解説します。

「経営チーム」でビジョンを作る

「じゃあ、どうすればいいんだ……」

 

そのような声が聞こえてきそうです。私自身も、自社のビジョンを策定する際は具体的な方法がわからず、困りました。そこでヒントを求めて書籍やセミナーで勉強し、片っ端から試してみました。そのなかで「真に機能するビジョン」の作り方は、かなりの程度確立されていることがわかってきました。

 

とくに私が推奨する方法では、シンプルな考え方と実用的なツールをセットで用意することで、ビジョン策定及び共有、さらには日々の業務への落とし込みまで、強力にサポートすることができます。

 

その特徴は、安易にトップダウン(社長主導)やボトムアップ(社員主導)を選択するのではなく、「経営チーム」でビジョンを描いていくことにあります。経営チームとは、経営者と各部門長で構成されるチームです。社長に加え、結果責任を持つ部門長らが3〜7人ほど集まってチームを組み、ビジョンを策定していきます。

 

なぜ経営チームでアプローチする必要があるのかというと、最終的な意思決定権者である経営者に加え、一定の権限と責任を持ち、かつ現場についても熟知している複数の幹部社員を交えてビジョンを策定することで、トップダウンとボトムアップの“いいとこ取り”ができるためです。

 

彼らの言葉は重く、抱えている情報量も申し分ありません。そのようなメンバーでビジョンを作ることで、その会社は現実的でありながら野心的なビジョンを構築できるようになります。つまりトップダウンで不足しがちな「現実的であること」と、ボトムアップで不足しがちな「野心的であること」の両方をカバーできるというわけです。

 

なかには広告会社主導でビジョンを作ろうとする会社もあるようですが、いくらホワイトボードに付箋を貼って意見を出し合ったとしても、それが全社員にとって自分事と認識できなければ意味がありません。

 

だからこそビジョン作りは、社内の経営チームが主導することが大切です。私たちはその点を重視し、数々の企業で“機能する”ビジョン作りを実現しています。

 

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