ビジョンを正確な言葉で定義する
ビジョンは機能してこそ意味があります。機能するとはつまり、掲げているビジョンが社内に浸透していることに加え、長期・中期・短期の視点から業務に影響を与え、望ましい成果を生み出し続けているということです。
ビジョンが機能する状態をつくるには、その前提として、ビジョンの捉え方を明確にしておく必要があります。ビジョンをどのように捉えるのかによって、それが機能しているかどうかの判断もまた変わってくるためです。
たとえばビジョンを「(事業を通じて)どのような世界を作るのか?」という意味合いで使っているケースもあると思います。それもまた一つの考え方です。
しかし私たちは、用語の問題に過ぎないかも知れませんが、そのような考えを「コア・フォーカス(目的・使命・パッション)」という言葉でくくり、それらはあくまでも“ビジョンの一部”として捉えています。つまりビジョンを構成する一要素であるという発想です。
そのうえでビジョンとは何か。その組織が「どこへ向かっていて」「どうやってそこに到達するのか」を明確に描くこと。そしてそのビジョンが機能するためには、全員が100%同じ“1枚の絵”を共有することが必要です。
重要なのは、経営者や経営チームメンバーが本当にそこまで行きたいと思っていることです。目的地まで引っ張っていくのは経営者の仕事なので、まず社長がそのビジョンをきちんと腹落ちしていること。そのうえで経営チームメンバーも同様に自分事として捉えていることが重要です。
そうでなければ、いわゆる「新年の目標」のように、気付いたころには忘れてしまいます。繰り返しになりますが、ビジョンは社長と幹部、さらには全社員が自分事として捉え、持続的に行動へと落とし込まれなければ意味がないのです。
そこで重要なのが「ウォンツ」ベースの発想です。自分たちの内側から湧いてくるウォンツをもとに、経営チームが主導してビジョンを策定していくこと。一定の権限と責任があるメンバーとともに、社長を含めて策定すると機能するビジョンができあがります。
そしてその方法は、曖昧なものであってはいけません。方法論が明確であり、かつ確立されていてこそ再現性があります。加えてその方法論は、ビジョンの性質上、策定と共有を同時に実現できるものが望ましいといえます。
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