(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者が終の棲家とする老人ホーム。しかし、費用面ばかり見て施設を選ぶと、本人に大きな不満が生じるばかりか、親族が大変な思いをすることもあるようだ。実情を見ていく。

土曜日の夜に鳴ったインターフォン

「土曜日の夜、突然インターフォンが鳴るので出てみたら、姑と義妹が立っていたのです」

 

義妹家族と同居していた姑だったが、義妹の夫と大げんかして追い出されてしまったのだ。

 

「とりあえずその夜はうちに泊まってもらいましたが、私たちも仕事をしていますから、いつまでも2人を置いておくことはできませんので…」

 

しかし、日曜日の夜自宅に帰ったのは義妹だけ。義妹の夫が〈姑が戻るなら自分が出て行く〉と言い出したためだった。

 

姑は足腰が悪いわけでもなく、認知症の兆候もない。そのため、とりあえずは共働きの佐藤さんの家で〈一時預かり〉ということで過ごしてもらうことにした。

 

「でも、限界でした。家に帰ったら姑がいるんですよ。これまで親しく話したこともありませんから、とにかく気持ちが休まりません」

 

「それに、生活習慣がまったく合いません。2人だけになってから、食事も各自好きなものを勝手に食べています。洗濯も、お風呂のあと一気に回して乾燥までしておしまい。それをいちいち〈そんなのよくないわ〉と…。本当に苦痛で…」

 

しかし、先にキレたのは夫の方だった。

 

「いいからほっといてくれ!」

 

佐藤さん夫婦は、義妹夫婦を交えて相談し、「なるはや」で姑に老人ホームへ入居してもらうことになった。

 

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