(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者が終の棲家とする老人ホーム。しかし、費用面ばかり見て施設を選ぶと、本人に大きな不満が生じるばかりか、親族が大変な思いをすることもあるようだ。実情を見ていく。

舅が亡くなり、姑は資産を処分して娘の家へ

近年では、高齢になっても家族に介護されることなく、「老人ホーム」を終の棲家とする高齢者も増えてきた。背景には、核家族化、共働きの増加といった家庭の在り方の変化がある。

 

高度成長期から平成バブル時代までに多く見られた、夫の一馬力で家族全員を養うスタイルが激減し、「とにかく夫婦で稼がなければ生きていけない」厳しい状況の家庭が増えている以上、高齢の親の面倒を見たくても、時間的・金銭的に無理があるのだ。

 

50代の佐藤さんはため息をつく。「舅が亡くなったあと、同居したいと泣き叫ぶ70代後半の姑をなだめすかして、ようやく老人ホームに入ってもらったのですけれど…」。

 

佐藤さんと夫は結婚したときから共働きで、双方の両親と同居したことはなく、また、干渉されることもほとんどなかったという。しかし、数年前に舅が80歳目前で亡くなると、姑の態度は大きく変わった。

 

「隣の市に暮らす夫の両親は、干渉してこなかったというより、義妹の子どもたちに夢中で、こっちに注意が向かなかったのです」

 

佐藤さんの夫には妹がひとりいるが、夫の両親と近居で、しょっちゅう行き来をしているようだった。

 

「正直、孫差別もひどく、うちの2人の息子には全然お金をかけてもらっていません。もっとも、私の仕事が忙しくて付き合いもおろそかになりがちでしたので、仕方ないと思っていたのですが…」

 

舅姑とはあまり深い交流のないまま年月が過ぎ、佐藤さんの2人の息子たちも無事に大学を卒業して巣立って行った。息子たちの手が離れた佐藤さんは、定年退職までの数年間、自身の老後資金を作るべく、仕事に打ち込んでいた。

 

そのようななか、とくに健康不安もなかったはずの舅が心筋梗塞で急死してしまったのである。

 

「持病は聞いていなかったので、驚きました。でも、長患いするよりよかったのではないかと。残された姑は、仲のいい義妹家族と交流しつつ、のんびりしてもらえたら…と思っていたのです」

 

舅は普通のサラリーマンで、資産は横浜郊外の築古の自宅と預貯金のみ。相続も、姑の老後資金の確保のため、子どもたちは放棄することになった。

 

すると姑は、舅の死から1年たたないうちに自宅を売却。義妹家族と同居するため引っ越していった。佐藤さん夫婦は安堵したが、それで話は終わらなかった。

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