フェラーリが「経費」として認められた驚きの理由
税務調査で経費として認められるのは、事業を運営するのにかかった支出です。つまり「経費か・経費でないか」の判断基準は「あくまで売上を上げるために必要なものであるかどうか」です。
このため、業種により経費になるもの、経費にならないものの判断が異なります。
一般的に、普通の企業が社用車としてポルシェやフェラーリを購入したら、税務調査で「なぜこんなに高い乗用車が必要なのですか? 同業他社でこのような車に乗っている人はいません。これは社長の個人的な趣味ですよね? 残念ですが、経費としては認められません」という指摘を受ける可能性が非常に高いです。
とはいえ、ポルシェやフェラーリが絶対に経費として認められないかというと、実はそうではありません。
たとえば、その企業が高級車のディーラーであるとか、顧客が富裕層であるため大衆車ではカッコがつかないなど、事業上の理由で高級車に乗る必要性があり、また仕事で使用していることが実際に証明できれば、経費での計上が可能です。
過去、フェラーリを会社の資産として購入し、減価償却として経費計上した法人が、税務調査で指摘されたケースがありました。しかし、「車検距離などの状況から代表者の通勤や業務の交通手段としていることがみとめられること」「個人で所有している他の車両(ロールスロイスなど)3台については経費計上していないこと」「フェラーリが社長の個人的趣味であっても、現実に会社の事業の用に使用されていることが推認できる以上は、税務署側の主張を採用することはできない」として、最終的にフェラーリは経費として認められたのでした。
また、たとえばYouTuberなどは、動画のテーマのための取材費用や衣装代、美容関連費用など、実際に必要であり、事業のために使ったことを説明できた場合、経費として認められます。
税務調査で指摘を受けやすい、経費計上の「グレーゾーン」
しかし経費のなかには判断に迷う「グレーゾーン」が存在します。税務調査では、税務上の解釈によって経費として認められるケースと認められないケースがあります。
税務調査で指摘を受けやすい経費として、たとえば以下のような例があげられます。
1.事業用の車の購入費や維持費、ガソリン代などの経費
その車を事業専用として使っている場合は経費計上できますが、個人的に使用している場合、その分は経費として認めることができません。
2.取引先との個人的な会食
実際に会社の接待などで会食を行った場合、「接待飲食費」として計上可能です。しかし、たとえ取引先の相手であっても、個人的な付き合いでたとえばキャバクラや風俗店などに行った場合、経費として落とすことはできません。
3.出張ついでの観光費用
事業の出張と兼ねて、プライベートで観光もした場合は、事業に直接関わっている部分については経費計上できますが、プライベートな部分については経費計上できません。
またお土産については、家族や友人のために購入したものについては経費にできませんが、従業員(全員)に購入した場合は「福利厚生費」として経費計上できます。
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