(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価が2024年2月22日、34年ぶりに最高値を更新。その後もさらなる最高値を更新した。かつて平成バブルを経験した投資家からは期待の声も上がるなか、今後、不動産市況にどのような影響があるのか? 不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が解説する。

不動産マーケットの展望

では、今後の不動産マーケットはどのように推移するのだろうか。日本のみならず、今後の世界経済はインフレ傾向が強まると予想される。コロナ禍においては日本のみならず世界各国が金融緩和を行い、大量のマネーがマーケットに流入したことによって、アメリカ、イギリスをはじめ先進諸国の物価は高騰を続けている。

 

不動産マーケットにおいては、この影響が建設費に表れている。建設費の値上がりは特にここ数年で顕著になっている。国土交通省の建築費デフレーターによれば、2015年を100として、2023年はマンションなどの鉄筋コンクリート(RC)造で126.4、オフィスなどの鉄骨(S)造で131.6と大幅な上昇が続いている。

 

原因としては、

 

1. 建築資材の多くが輸入品であり、世界的に建設需要が伸びるなか、資材が高騰していること

2. 国内の低金利政策による円安で、輸入資材価格の高騰に拍車をかけていること

3. ウクライナ、ガザなどの国際紛争によるエネルギー価格の上昇による運搬コスト、電気代などの値上がりが続いていること

4.世界的な半導体不足による設備機器の価格上昇、納期の遅れ

5. 国内建設業従事者の減少、人口減による人材不足

 

の5つがある。いずれも今後の経済環境を考えるに改善しない、むしろ悪化する可能性のあるものばかりである。

 

建設費のアップは地価の上昇を含めて、不動産の投資利回りを低減させる。一方でインフレ引き締めのために、先進国では金利の引き上げが相次いでいる。国内でも日本銀行によるゼロ金利政策は解除され、今後は利上げに向けての環境整備が始まる。

 

これらの動きをみるに、不動産投資利回りを改善させるにはひとえに賃料収入の上昇を目指すしかないということになる。 

 

今後の不動産投資で成功するためのポイント

経済理論的には、おそらく賃貸マンション、アパートなどの賃料は今後上昇に向かうことが想定される。だが一方で日本の場合、人口減少、高齢化の波にさらされ、また849万戸の空き家のうち賃貸用の空き家戸数が432万戸と全体の半数以上を占めている。

 

日本の人口は2030年以降、減少のスピードが高まっていくこと、年間の出生数は、2016年に動態統計を取り始めた1899年以降で初めて100万人割れをしてからさらに落ち込み、75万8,000人(2023年)となっている。

 

今後は若年人口の減少を前提に需要動向をよく把握して、中長期的に十分採算が見込まれるエリアでの貸家着工を計画すべき時代に入ったということもできよう。

 

土地の有効活用としてのマンション、アパートなどの賃貸住宅経営は資産ポートフォリオの分散や相続税評価額の圧縮など多くの効果が期待できる手法だ。今後もその効果は変わらないものの、これまで以上に投資にあたってマーケティングの重要性を認識すべきである。

 

どんな商売を行うのでも、顧客にどのような商品、サービスを提供するかを考えるのが基本だ。不動産活用、運用を行うにあたっては知恵の部分については、専門家などを上手に活用し、投資リスクをしっかりと検証したうえで安心な未来生活を構築していきたいものだ。

 

 

不動産事業プロデューサー

牧野 知弘
 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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