米国の労働市場は…
⽶労働省が公表した6⽉16⽇〜22⽇の新規失業保険申請件数は23.3万件と、市場予想(23.5万件)を下回りました(図表4)。
もっとも、週ごとの変動をならし、雇⽤情勢をより正確に反映するとされる、4週移動平均は、23.6万件と前週から+0.3万件増加し、2023年9⽉以来、約10ヵ月ぶりの⾼⽔準となりました。
新規失業保険申請件数の増加は、雇⽤統計における失業率が上昇している点や、コンファレンス・ボードによる消費者調査で、雇⽤環境の⾒通しが悪化している点と整合的であり、労働市場は緩やかながらも軟化していることを⽰唆しています。
これまでパウエルFRB議⻑は、年内の利下げを強く⽰唆する発⾔を繰り返しています。その際、雇⽤情勢については「雇⽤が強いことが利下げの妨げになるものではない」、「雇⽤が下振れれば、インフレ率の低下ペースが鈍っても利下げが必要になる」と説明しています。
⾜もとの堅調な雇⽤を⽀えている移⺠増加の勢いが低下し、新規雇⽤の増加ペースが鈍化すれば、それが利下げ開始の引き⾦になるとの考え⽅に基づくものとみられます。こうした発⾔はパウエルFRB議⻑に限らず、複数の⾼官からも同様の発⾔が相次いでいます(図表5)。
たとえば、クックFRB理事は「労働市場がかなり急速に変化しかねないリスクについて⾃⾝を含む当局者が注視しており、当局は対応する⽤意がある」と雇⽤情勢が急速に悪化した際、利下げに踏み切る可能性に⾔及しています。
⽬先は利下げのタイミングを⾒極める⼿がかりとして、7⽉5⽇に公表される6⽉雇⽤統計の結果に注⽬が集まることが予想されます。