(※写真はイメージです/PIXTA)

多死社会の日本では、日々多くの相続が発生しいます。そこには、亡き人への感謝や感動がある一方で、割り切れない思いをするケースも少なくありません。ある50代女性の事例をもとに、実情を見ていきましょう。

「なぜ亡き息子のお嫁さんに全財産を!?」

ところが、葬儀のあと、驚くことが判明しました。

 

「叔母は遺言書を残していたのです」

 

遺言書の内容は〈全財産を息子の嫁に相続させる〉というものでした。

 

「思わず〈なにかの間違いでは?〉って叫んでしまいました」

 

「遺言書には〈息子亡きあとも尽くしてくれた陽子さん(お嫁さんの名前)に感謝します〉とありました。私も妹も、それを知ってあっけに取られてしまって…」

 

鈴木さんは悔しそうに唇をかみます。

 

「あんなに跡取りにこだわっていたのに、血縁もない、子どももいない、亡くなった息子の奥さんが遺産を相続するんですよ? 私も妹も、叔母といとこの奥さんに交流があったことすら知りませんでした」

 

「大事にしてきた財産を、どうしてよその家系に継がせるようなことをするのか。サッパリ理解できないし、納得できません…」

 

しかし、甥姪には「遺留分」がありません。そのため、遺言書が準備されていた以上、叔母の遺産はすべて遺言書通り亡き長男の嫁が相続することになり、鈴木さん姉妹はどんなにジタバタしたところで、叔母の遺産は相続することができないのです。

 

「理不尽だと思いますが、法律ですから…。ここはあきらめるしかありませんよね」

 

相続の結末が、気持ちに沿うものとならないケースは少なくありません。ご自身の相続において、鈴木さんのような思いをしている方もいるのではないでしょうか。

 

[参考資料]

法テラス「遺言がある場合、相続はどのようになされますか。」

法テラス「遺留分とは何ですか。」

 

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