(※写真はイメージです/PIXTA)

「つきまとい」というと、多くの人は男女の問題などを連想するでしょう。しかし、家に押しかけられたり、どこか関係者のもとへ執拗に連絡が来たりといった事例は男女の問題に限らず、人と人とのトラブルである限り度々起こるものです。こうしたトラブルに対し、法的に有効な解決方法を知っておきましょう。本記事では「つきまといへの対応策」について田代隼一郎弁護士が解説します。

特別法=ストーカー規制法

[図表2]特別法=ストーカー規制法

 

対象をもう少し広げようということで作られた法律が、ストーカー規制法。つきまといで使えそうな言葉としては、

 

何人も、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない。

 

と書かれています。さらにこれについても1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するという罰則もあります。

 

どういうものかというと、「つきまといや位置情報無承諾取得などをしてはいけません。それをすると罰則になります」といった意味です。位置情報無承諾取得とは、スマートフォン等のGPSなどで位置情報をこっそり取るというような行動のことです。かなり使えそうですし、さらに罰則もあるのです。

 

住居侵入等では懲役3年のところ、ストーカー規制法では懲役1年に減りますが、罰則もあるということで、これも覚えておくとよいでしょう。

 

[図表3]特別法=ストーカー規制法の定義

 

しかしここにもやはり制限があります。2つの制限があり、特に1つ目が厄介です。

 

1つ目は、つきまといなどで位置情報を得るのも同じですが、恋愛感情その他の好意の感情を持ってのつきまといあるいは位置情報の取得やGPSの取得、又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的での行動に制限されていること。

 

もう1つは、つきまといなどをする相手やその配偶者、あるいはお母さんや子供などの家族、もしくは社会生活において密接な関係を有する者、同棲している恋人やそういう対象に対してのつきまといなどの行為に限るということ。また対象の制限があります。

 

さらに、目的の制限も。特に目的の制限がネックになることが多いです。たとえば闇金等からの執拗な取り立て行為があったときなど、好意の感情かその裏返しでの恨みの感情、こういった目的がないと、このストーカーの行為で規制することはできないという点で、どうしても限界があります。

 

一方、好意による感情やその裏返しの行為であれば、建物の侵入ということ以外にも広く使えます。つきまとい行為やGPSの取得行為に関して広く使えるという点では活用できるケースも度々ありますので頭に入れておいてください。

 

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