【年金月38万円・60代夫婦】余裕の老後生活へシフトのはずが一転。郷里の兄嫁、クルマに90代の母を乗せ、遠路はるばるやってきて…人生最大の番狂わせに「いまは無の境地」

【年金月38万円・60代夫婦】余裕の老後生活へシフトのはずが一転。郷里の兄嫁、クルマに90代の母を乗せ、遠路はるばるやってきて…人生最大の番狂わせに「いまは無の境地」
(※写真はイメージです/PIXTA)

必死に働き、周到に準備し、ようやく迎える定年後の生活。仕事や子育ては計画通りに進んでも、介護問題は簡単ではないようだ。実情を見ていく。

60代になってから、妻の母親と同居に至った経緯

「ところが、実家で母と同居していた私の兄が、母より先に亡くなってしまったのです…」

 

鈴木さんの兄夫婦は、結婚当初から鈴木さんの実家に同居。子どもも3人生まれ、円満に暮らしているように見えたという。

 

「亡くなった兄はすでに60代後半でしたし、実家には兄の末っ子も暮らしていたので、母の生活はそのままだと思ったのですが…」

 

鈴木さんの兄の四十九日のあと、兄嫁から鈴木さんに「母親を引き取ってほしい」との連絡があった。

 

鈴木さんの父親が亡くなったのは10年ほど前。そのときに「跡継ぎだから」という理由で、実家不動産の名義はすべて兄に書き換えた。母親は数百万円の預貯金を相続したが、鈴木さんは嫁いだ身ということで、なにも相続しなかった。

 

「兄嫁は〈親は実子が見るべき〉といって、自分でクルマを運転し、遠路はるばる母をウチまで運んできました」

 

鈴木さん夫婦は驚きで言葉を失ったが、涙を流す母親を追い出すわけにはいかない。幸い、子どもたちが独立した家は部屋が余っている。

 

「そのとき、母の財産は250万円の貯金だけ。父の財産の大半は兄が相続し、母親は現金をいくらか相続したはずですが、孫への援助などでずいぶん使ったようでした」

 

鈴木さんの母親の年金は月10万円ほど。すぐ入れる高齢者施設となると、母親の貯金だけでは不足であり、鈴木さん夫婦が資金を出さなければならない。特養となれば、いつ入居できるか先が読めない状況だ。

 

「夫が〈お義母さんがかわいそうだ。ウチで引き取ろう〉といってくれたのです」

 

国立社会保障・人口問題研究所の『第7回全国家庭動向調査 報告書』によると、妻の年齢が 70歳未満となる世帯を対象として、親と同居している世帯の割合は15.6%。また夫、または妻の母親と同居している割合は13.3%。

 

5年ごとに実施されているこの調査で、親との同居割合の推移をみると「2008年」に26.6%、「2013年」に31.5%、「2018年」に19.8%、「2022年」に15.6%と低下傾向ではあるが、それでも現状、7世帯に1世帯程度は親と同居する世帯がある。

 

また、年齢別に親との同居割合をみると「20代以下」が7.9%、「30代」が9.3%、「40代」が14.4%、「50代」が18.4%、「60代」が20.5%と、年齢が上がるにつれて親との同居割合は増えていく。そこには「親の介護問題」がある。

 

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