今回は、幸せに人生を終えるヒントを、実例を交えながら見ていきます。※本連載は、医療問題アナリストで歯科医師の吉野敏明氏、経済評論家で公認会計士・税理士の田中肇氏、一般社団法人包括安心サポート研究所の代表理事・大和泰子氏の共著、『本当に正しい医療が、終活を変える 』(かざひの文庫)の中から一部を抜粋し、幸せな人生を終える人と、そうでない人の違いはどこにあるのかを探っていきます。

自分がいなくなった後の「家族の生活」を考えておく

介護と医療を中心に話を進めてきました。が、実際にすでに亡くなってしまい、こんなことで困った、もっとこんなふうにしておけばよかった、という実例、逆にこんなふうにしていたからよかったという例をいくつか示します(プライバシーのため、年齢や性別など一部変えさせていただいています)。

 

理想論としては、まず医療を中心に心と体の対策を普段からしておき、その上にメディカルチェックを受けてきちんと病気にならない体をつくっておくこと。

 

さらに次は家族や仕事(とくに経営者であれば従業員とその家族もありますから、自分の家族以上に仕事は重要です)の対策をし、常に後継者を育てていつでもバトンタッチできるようにしておくこと。

 

その上で自分人生のエンディングに加えて、万一自分が亡くなったあとの自分の家族と従業員の将来の生活のことまで考えるのが「目標設定」です。

 

自分の抱えている物や社会との関わりが大きければ大きいほど、この目標設定が重要となります。でも、全ての方がこのようにできるわけでは到底ありません。逆に、それができないので我々のようなサポート会社があるわけです。

一人残される妻に「何をしてやれるのか?」

では、実例をもとに見ていきますから、いくつかのキーワードを示しておくので頭の片すみに入れて読んでみましょう。キーワードに関しては、後の章(本書籍をご覧ください)で細かく解説いたします。

 

<キーワード>
健康管理 早期発見早期治療 遺言 相続税 財産管理 成年後見制度 信託 定期訪問プライベート秘書サービス 見守り契約

 

事例① 子供のいないおしどり夫婦のケース
夫/Aさん70歳 妻/Bさん65歳 子供なし 都内在住

 

結婚40年、裁判官だったAさんをいつも温かく支えてきた奥様のBさん。夫婦の記念日のお祝いもかかさず、旅行や観劇、スポーツもいつも一緒で仲が良く、おしどり夫婦といわれてきました。

 

ところが、青天の霹靂が起こります。妻のBさんが55歳の時に、脊髄小脳変性症と診断されました。当初は、ふらつきや言語が時々うまく発せないという程度の症状でした。しかし、その後は病状が進行して歩行の介助が必要になり、加えて意志伝達障害、言語障害が出てきてしまいました。妻Bさんは夫のAさんが介助してきました。

 

最近になり、Aさんの腰に激痛がはしり、精密検査をした結果、なんと進行性の胃癌が発見され、ステージⅣと診断されたのです。夫婦2人が病気になってしまい、今後の生活、お金の管理を考えると毎日不安で眠れない状態でした。

 

Aさんは妻のBさんを遺して先に旅立つ可能性が高いことを考え、今妻にしてあげられることは何があるのか、そして今この瞬間に自分ができることは何か教えて欲しい、と我々の法人に相談にお越しいただいたのです。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2016年9月22日刊行の書籍『本当に正しい医療が、終活を変える』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本当に正しい医療が、終活を変える

本当に正しい医療が、終活を変える

吉野 敏明・田中 肇・大和 泰子

かざひの文庫

本書は終活のための本です。よい終活とは、遺書を書くことでも、墓石を選ぶ事でも、葬儀会社を選ぶことでもありません。保険を組み合わせることでもありません。健康な体と心をもち、心が最期の瞬間まで成長する。これによって…

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