タンス預金は「リスクが高く、節税できる額も限られる」
このようにタンス預金をして脱税をしようと思っても、税務調査で暴かれてしまいます。特に脱税をしようとしている納税者に、税務署は厳しく対応します。証拠集めや質問攻めをすることで逃げ道をふさいでいくのです。
通帳から引き出しが多い場合には、その用途について徹底的に質問されます。キャッシュレスな現代において、現金引き出しの用途はかなり限られています。例をあげると以下のようなものがあります。
・食費
・旅行、趣味など(クレジットカードで払っていたら現金を引き出す理由なし)
・家賃やローン返済(高齢で持ち家の場合は出費がないことがほとんど)
・教育費(学校や塾への直接の振り込みであれば、言い訳にならない)
・水道光熱費(引き落としがほとんど)
・医療費(確定申告の医療費控除の明細で金額は税務署に把握される)
また、調査が来ないからと、生前に親の口座から引き出したタンス預金を相続人の通帳に入金すると、直ちに税務署は脱税を見抜きます。相続発生後から税務調査が行われるまでの期間の相続人の通帳を調査官は必ず確認します。
この点を指摘された場合も言い逃れは難しいです。なぜなら入金の機会は限られているからです。もし相続人がサラリーマンであれば、入金の機会はお給料とボーナスの二つのタイミングしかありません。急に100万円を超えるような多額の入金がある場合は、これは何のお金かと問い詰められることになります。
納税者が考えることは一緒で、脱税の手法は昔から変わっていません。よって調査官は、この手の調査に慣れており、このように非常に厳しいのです。ですから、脱税を考えるのではなく、合法的な相続税対策を行いましょう。
正攻法で進めることで、金銭的にも精神的にもお得に対策ができます。タンス預金の脱税はリスクの割に節税できる額が限られています。正しい相続税対策をしていきましょう。
大田 貴広
税理士
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