(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査が行われると、帳簿上の細かな数字を確認したうえで調査官からさまざまな指摘がなされます。指摘内容に納得した場合は、申告内容を修正し、正しい申告額の申請をする修正申告を行います。しかしながら、調査官の指摘にどうしても納得できないケースもあるでしょう。税理士法人松本が、納税者の意見を主張できる「不服申し立て」について解説します。

税務調査の「不服申し立て」とは?

不服申し立てとは、行政庁の行った処分などに不服がある場合に再審査等の請求を求める行為のことです。税務調査の結果において不服がある場合も、納税者は不服申し立てを行うことができます。

 

■税務調査時の2つの不服申し立て

不服申し立ては原則として審査請求を求めるものとなりますが、税務調査の処分に対する不服申し立ての場合には、審査請求の他に再調査の請求をすることも可能です。

 

審査請求をする場合は、国税不服裁判所長に対して不服申し立てを行い、処分の取り消しや変更を求めます。一方、再調査の請求をする場合は、税務調査の処分を決定した税務署長等に対して不服を申し立てます。

 

再調査の請求がなされると税務署長は改めて税務調査の内容を見直し、その結果を再調査決定書にて納税者に通知することとなります。再調査を請求せずに、国税不服審判所に審査請求を求めることも可能ですが、再調査後の処分に不服があった場合に、段階を経て国税不服審判所に不服申し立てを行うこともできます。

 

■税務調査で不服申し立てを行えるケースとは?

税務調査ではどのような場合に不服申し立てを行うことができるのでしょうか。税務調査で不服申し立てを行えるのは、次のようなケースです。

 

・申告額が少ないと指摘され、不足分の税額の納税を求められる処分を受けた

・確定申告が不要であると認識していたにも関わらず、申告義務があるとする処分を受けた

・税金を過大に納税したため、更正の請求を行ったが、更正請求を拒否された

・納得のいかない指摘を受け、青色申告の承認取り消し処分を受けた

・加算税の賦課決定を受けたが納得できない

税務調査から不服申し立てを行うまでの流れ

税務調査の処分に納得できない場合、どのように不服申し立てをすればよいのでしょうか。更正処分を受けてから不服申し立てを行うまでの流れをご説明します。

 

【①税務調査で更正処分を受ける】

⇒税務調査を受けると、調査についての結果が通知されます。修正申告を求められても指摘事項に納得ができない場合は、修正申告に従わない旨を伝えることができます。その場合、税務署長は更正処分を行います。

 

②税務署長に再調査の請求をする

⇒更正処分に不服がある場合は、不服申し立てを行い、税務署長に再調査の請求をします。税務署に再調査の請求書を提出すれば、再調査の請求は可能です。請求書は税務署に郵送または持参して提出ができるほか、e-TAXを使って提出することもできます。

 

再調査の請求は、処分の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に行わなければならない点に注意しましょう。

 

また、税務署長への再調査の請求ではなく、国税不服審判所長に対して審査請求を行うことも可能です。

 

【③再調査の請求についての決定】

⇒再調査の請求が受理されると、税務署長は処分内容について再度、調査と審理を行い、結果を納税者に再調査決定書にて通知します。

 

【④国税不服審判所長に対する審査請求】

⇒国税不服審判所とは、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行うことを目的に設置された国税庁の特別機関です。

 

再調査決定書を受け取り、記載内容に不服がある場合は、再調査決定書の送達を受けた日の翌日から1ヵ月以内に審査請求書を国税不服審判所長に提出し、審査請求を行います。審査請求の提出は、審査請求書を郵送または持参する方法のほか、e-TAXを使って提出することも可能です。

 

また、再調査の請求後、3ヵ月を経過しても再生調査の請求についての決定がない場合には、決定を経ずに国税不服審判所長に審査請求をすることもできます。

 

審査請求書が受理されると、国税不服審判所では審査請求人と税務署長の双方の主張をヒアリングし、公正な立場で審理を行い、裁決を下します。税務署側が採決結果に不服を抱いても、訴訟を提起することはできませんが、審理請求人は国税不服審判所長の判決にも不服がある場合、裁判所に訴えることが可能です。

 

【⑤訴訟】

⇒国税不服審判所長の判決に不服がある場合は、裁決の通知を受けた日の翌日から6ヵ月以内に裁判所に訴訟を起こすことができます。また、国税不服審判所長から3ヵ月を超えても裁決を記載した裁決書が送付されてこない場合は、裁決を経ずに訴訟を起こすことも可能です。

税務調査の不服申し立てをする際の注意点

税務調査の処分内容に納得がいかない場合は、不服申し立てを行う権利があります。しかし、不服申し立てを行う際にはいくつかの注意点があります。

 

■納税を済ませたうえで不服申し立てをする

税務調査の結果、追徴課税がなされた場合、まずは追徴課税分の納税をしておいた方が賢明です。不服申し立てを行い、再調査の請求や審査請求によって税務署長の処分内容を覆すことができれば、追徴課税分の税額は返還されます。しかし、再調査の決定や審査の裁決によって納税者側の主張が認められなかった場合は、決定や裁決が出るまでの延滞税も発生してしまうのです。したがって、不服がある場合もまずは納税を行ったうえで不服申し立てに進むようにしましょう。

 

■「再調査請求か」審査請求か」の決断は迅速に

税務調査の処分内容についての不服申し立てを行う手段には、税務署長に再調査の請求を行う方法と国税不服審判所長に審査請求を行う方法の2つの選択肢があります。再調査の請求では、税務調査を行った調査官が所属する税務署が再調査を行います。したがって、最終的な判断は、同じ税務署長が決定することとなるため、納税者の主張は認められにくいという現状があります。しかしながら、必ずしも訴えが認められないわけではなく、令和4年度の再調査の請求の認容割合は4.6%となっています。

 

一方、国税不服審判所長に対して審査請求を認める場合、第三者的立場で審査が行われるというメリットがあります。しかし、納税者の主張を正しく訴えるためには、入念な準備が必要です。そのため再調査の請求をせずに審査請求を行う場合、準備が十分に進められない恐れがあります。

 

再調査の請求も審査請求も処分の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に不服申し立てを行わなければなりません。したがって、納税者は、再調査の請求か、審査請求か、どちらの不服申し立て手続きが適しているのかをスピーディーに決定する必要があるのです。

 

とはいえ、どちらの不服申し立て手続きを選択すべきかを判断することは決して簡単ではありません。また、税務署長または国税不服審判所長を納得させられる資料を作らなければ、不服申し立てを行っても、訴えが認容される可能性は低いでしょう。税務調査の処分に不服があり、不服申し立てを行う場合は、再調査請求や審査請求に詳しい税理士に相談した方が賢明です。

 

 

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

 

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