「割安株投資」VS.「成長株投資」徹底分析(2)
株式市場全体の値動きを示す日経平均株価が大きく下落している中でも、個別銘柄に目を向けると、年初来高値を更新している銘柄も数多く見受けられます。一方で、日経平均株価以上に株価が下落を続けている銘柄も少なくありません。
この違いはいったいどこにあるのでしょうか。一言で言えば「業績」です。つまり、増収増益が続いている高成長銘柄は株価が上値追いを続けている一方、業績が悪化している銘柄については、PERやPBR、配当利回りといった指標から見て「割安」であるにもかかわらず、株価は下がり続けることが多いのです。
いくら低PERでも好業績でないと買われない
実は、今の日本株には、「割安株」がゴロゴロしています。例えば、PERなら10倍程度の銘柄はいくらでも探すことができます。しかも、それなりに利益を上げ、配当金もしっかり出しているにもかかわらずです。
でも悲しいことに、PERが10倍以下であっても、一向に株価が上昇しないものも少なくありません。私が日々ウォッチしている約500銘柄の中にも、しっかり利益を上げているにもかかわらずPERが10倍以下の水準で放置されているものがいくつもあります。そこで、これらの銘柄の特徴を分析してみました。
するとそれらの銘柄の多くは、当期の業績が減益であったり、利益の伸びがほとんど止まっていたり、来期の業績が減益予想でした。筆者の経験上、増益率ゼロ(つまりゼロ成長)の銘柄のPERの妥当水準は10倍です。
ですから、足元でしっかりと利益を上げていたとしても、来期以降減益の予想であれば、PERが10倍を下回っていても決しておかしくありません。もし割安株目線で投資対象を見つけるなら、単にPERが低いだけでなく、来期以降の業績予想が増収増益となっている銘柄を探す必要があります。
割安株目線では永遠に成長株は買えない?
上場来高値を更新して、青天井の上昇が続いているような銘柄の共通点は、PERの水準が高いことです。これらの銘柄に共通するのは将来の高成長期待です。将来急速に業績が伸びることが期待されているため、足元のPERが高かろうが算出不可能であろうが関係ありません。つまり、株価は数年後の業績を織り込みに行っているのです。
例えばレーザーテック(6920)という銘柄があります。先端半導体向けマスク欠陥検査装置を手掛けるこの会社はここ数年、成長株として大きな注目を浴びてきました。AI向け半導体需要の高まりが期待される中、株価は上昇を続けています。
そのため、この銘柄は単純にPERの数値だけで見ると割高となっています。2024年4月時点でのPERは76倍にも達していて、これまでも高PERで推移していますが、月足チャートを見ると、株価が大きく上昇していることが分かります。つまり、PERが高い状態がずっと続きながらも、株価はここ10年余りで300倍以上にまで上昇したのです。
もし、PERが低い銘柄から投資対象を選んでいると、いつまでたってもこのような株価の大きな上昇が期待できる成長株に投資することができません。割安株投資で成果を上げている個人投資家の方であればよいですが、どうも自分の選んだ割安株の株価が全く上がらないとお困りの方は、成長株目線での銘柄選びも考えてみてはいかがでしょうか。