(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資を始めたいと思ったら、どの銘柄に投資すればいいのでしょうか? 足立公認会計士事務所代表の足立武志氏は、著書『お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書』の中で「銘柄選びはシンプルでよい」と主張しています。一体それはどうしてでしょうか? 理由を本書から紹介します。

あまり機能していない低PBR投資

もう一つ、最近の傾向から筆者が思うことがあります。それは、PBRを用いた銘柄選択は、あまり機能していないという点です。PBRで銘柄選びをする際、PBRが1倍を下回っている銘柄、例えば0.5倍とか0.6倍の銘柄から投資対象を選択します。


以前は、筆者もPBRが0・5倍以下で、かつ利益もしっかりと上げていて配当金も出している銘柄へ投資し、その後の株価上昇の恩恵を受けたこともありました。しかし、今はPBRがどんなに低くても、それだけではなかなか株価は上昇しません。ポイントは、低PER株と同様に、業績が伸びているかどうかです。


ですから、増収増益かつPBRが1倍を大きく割り込んでいる銘柄があれば、十分に投資対象になるはずです。ただし、増収増益が続いている銘柄というのは、まずPBRが1倍を大きく上回っています。増収増益かつ低PBRの銘柄を探すのはなかなか困難だと思います。


また、2023年3月、東京証券取引所はプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施しました。特にPBR1倍割れの企業についてはそれを解消するための対応を求められているように読み取れることから、PBR1倍割れの銘柄に人気が集まりました。


しかし自社株買いや増配といった対応策により一時的に株価が上昇したとしても、業績そのものの向上がなければ一過性のものに終わる可能性も高く、事実、2024年4月時点でもPBR1倍割れの銘柄は1600銘柄を超えています。こうしたことから、筆者としては低PBR銘柄への投資はあまり重要視していません。

結論・大きな利益を狙うなら成長株投資

以上のことから、マーケット環境にもよりますが、筆者は成長株を中心に投資しています。ただし、成長株投資はリスクも高い点にはくれぐれも注意してください。例えば、決算発表時の来期業績予想で増収増益がストップしたり、増収増益には変わりないものの増益率が下がったりしてしまうという発表がされると、成長の鈍化が嫌気(先行きを悲観)されて株価が大きく売られてしまうことがあります。


成長株の最大のリスクは、成長が鈍化したと市場参加者が判断した時、株価についていた高成長というプレミアムが剥がれ落ち、株価が大きく下落してしまうことです。したがって、これから成長株に新規投資するのであれば、決算発表後の株価の乱高下が収まったあとにするのがよいのではないかと個人的には感じます。


また、増収増益基調にもかかわらずPERがそれほど高くない(10~15倍程度)銘柄もあります。決算前であれば業績の悪化が懸念されて低PERにとどまっている危険性もありますが、好決算を発表したにもかかわらず低PERが解消されないのであれば、新規投資を検討する価値はあると思います。
 

足立武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー 株式会社マネーガーディアン代表取締役

※本連載は、足立武志氏による著書『お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集したものです。

お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書

お金偏差値30でも始められる 株式投資の教科書

足立 武志

扶桑社

楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で人気連載を持つ著者が伝授。 投資でお金をしっかり増やせる人になるために、新NISAが始まったいまだからこそ読みたい株式投資の教科書。 2024年2月22日、日経平均株価がそれまで…

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