新規事業なしでは生き残れない
事業にはライフサイクルがあり、どのような事業も必ず衰退するときがくるものです。1つの企業が1つの事業だけをおこなっていると、事業が衰退期を迎えるのと軌を一にして、やがては企業自体も衰退し寿命を迎えることは避けられないでしょう。
企業は現代の経済社会を支える重要なプレーヤーであり、社員のためにも、顧客や社会のためにも、永続して成長していくことが必要です。
事業のライフサイクルと企業の命運を切り離し、企業が永続的に成長していくためには、どうすればいいのか。その答えが「新規事業開発」にあるといえます。これをわかりやすくするためにしたものが次の[図表1]です。
もしもX社がA事業だけをおこなうのであれば、A事業のライフサイクルが進むのに伴い、X社自体が衰退してしまいます。
しかし、A事業に続き、B事業、C事業と新規事業開発に成功し、新規事業でも売上を伸ばしたとしましょう。すると、A事業が衰退期を迎え売上が減少しても、新規事業B・Cの売上がカバーします。X社全体としては順調に売上を拡大し、成長していくことが可能になるのです。[図表1]で示したX社の例では、A事業のあとでB事業、そしてC事業が順調に売上を伸ばしています。
PPMの考え方
このように、新規事業開発によって企業の成長を考えるモデルとして、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の考え方があります。
世界有数のコンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループが開発・提唱し、経営の分野で広く活用されている経営手法です。ご存知の方も多いと思いますが、PPMについて簡単に説明します。
PPMは[図表2]のように、マトリクスのなかで事業を位置づけることで、1つの事業のライフサイクル上の位置や、複数の事業の役割などを分析できる方法です。横軸が「市場シェア」、縦軸が「市場成長率」をあらわす2つの軸上で4つの領域を設け、各々の事業がどの領域に入るかの分析をおこなうものです。4つの領域には、それぞれ次のような名前が付けられています。
問題児(Wild Cat):市場シェアは低いが、市場成長率が高く、今後の成長が期待できる事業。
花形(Star):成長率が高く将来性のある市場のなかで、市場シェアが高く、企業の柱となる可能性の高い事業。
金のなる木(Cash Cow):市場成長率は低くなってきたものの、市場シェアが高く、市場のリーダーとなっている事業。これまで長く事業をおこなってきたことからコストが低くなっており、企業に多くの収益をもたらす事業。
負け犬(Dog):市場成長率がさらに低くなり、事業の撤退を検討すべき事業。
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