「企業の寿命は30年」の根拠
「企業の寿命は30年」ということばを耳にしたことはないでしょうか。
これは1983年に『日経ビジネス』(日経BP)が特集記事「企業は永遠か」のなかで、初めて示したものです。その詳しい内容は、1984年に『会社の寿命盛者必衰の理』(日本経済新聞出版)として出版されました。
実際には次のような分析から、「企業の寿命は30年」といった結論に至ったようです。日本の上位企業100社のランキングを、過去100年間にわたって作成しました。その結果、企業がトップ100社のランキングに入り続けられた期間は、平均すると30年に満たないことがわかったのです。
ランキングの上位100社に入るようなトップ企業であっても、その地位を保てる期間は30年以下にすぎない、ということで大きな話題になりました。1950年と1982年の上位10社を示したのが図表1です。
両方に顔を出しているのは、製鉄会社である新日本製鉄(八幡製鉄と富士製鉄が合併)と日本鋼管だけです。製鉄会社以外では、1950年には紡績や鉱山の企業が上位を占めていたのに対し、1982年はこれに代わって自動車・電気製品・機械などの企業が上位を占めています。
別のデータも見てみましょう。株式会社東京商工リサーチによると、2021年に全国で倒産した企業6,030件(負債1,000万円以上)のうち、業歴がわかる5,121件を対象に調べたところ、それらの企業の平均寿命は23.8年だったことがわかりました。業種別に見ると、製造業36.3年、卸売業28.6年、不動産業24.5年、小売業23.1年、などとなっています(図表2参照)。
これは中小企業を多く含むデータであり、倒産した企業全体の平均値ですが、この場合にもやはり企業の平均的な寿命は30年程度以下であるといえそうです。「企業の寿命は30年」といったことばは、さまざまな企業の社長のインタビューなどでも時々目にします。企業の社長から見ても、直感的に違和感のないものであるようです。
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