どんなに儲かっていても…すべての企業に「新規事業開発」が必要な理由【中小企業診断士が解説】

どんなに儲かっていても…すべての企業に「新規事業開発」が必要な理由【中小企業診断士が解説】

失敗すれば大きな損害を被る新規事業開発。なかには失敗によるダメージによって、企業の存続そのものが危ぶまれることも。しかしそのようなリスクを負っても、すべての企業において新規事業開発が必要なのには理由があって……。本記事では、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集して、新規事業開発をおこなう意義について解説します。

新規事業が辿る道筋

PPMでよく使われるチャートを使い、新規事業が辿る道筋を描いてみます。[図表2]のマトリクスのなかに、1つの新規事業の推移を示したのが[図表3]です。なお、図中の円の大きさは、売上規模の大きさをあらわしています。

 

[図表3]1つの新規事業が辿る道筋

 

新規事業をはじめるまでは市場シェアがまだない段階ですので、図の右側からのスタートになります。その位置を「I」として示しました。この位置は事業のライフサイクルの導入期にあたります。売上はまだ小さいので、円の大きさは小さくして示しました。新規事業が軌道に乗ってくると、徐々に市場シェアが拡大していくことでしょう。図のポジションでいうと、左側に移動していきます。

 

また、市場成長率も高くなっていくことでしょう。しかしまだ導入期から間もない段階のため、市場シェアはそれほど大きくなっていません。この段階では、図の右上「問題児」と名付けられた象限に位置づけられます。図では「II」として示しました。事業のライフサイクルでいうと、導入期から成長期の入口に差しかったあたりに相当します。事業としては売上の規模が小さく、不安定な状態です。ここから事業が成長する軌道に乗れるか、それとも縮小していって撤退するか(図では点線で示しました)、将来に不安もある段階であるといえます。

 

さらに事業が拡大すると、市場シェアが大きくなり、市場成長率もますます高くなることでしょう。この段階では、図の左上「花形」と名付けられた象限に位置づけられます。図中では「III」として示しました。事業のライフサイクルでいうと、成長期から成熟期に入ったあたりです。事業がこの段階に入ると、自社が業界のなかで主要なプレーヤーとなり、マーケットリーダー的なポジションになります。市場が魅力的なため、競合他社の新規参入もあるでしょう。

 

競合企業への対応や、競争力を維持するための投資も必要な反面、事業活動に活気があり利益も生み出せる事業となります。花形ビジネスの位置に、なるべく長くとどまっていたいのは誰しも同じですが、どのような事業も永遠に続けられるわけではありません。

 

やがて起こる事業環境の変化のなかで、事業に対するニーズが低下し、市場成長率が下がっていきます。図では「IV」と示した段階であり、事業のライフサイクルの成熟期から衰退期にあたります。この段階になると、市場の魅力度が下がり、競合企業が少なくなっていくことでしょう。市場の成長率は下がり、場合によっては市場規模が小さくなるかもしれません。しかし、自社はマーケットリーダーの地位を確立していることから、他社に比べてコスト競争力がもともと高いうえに、新規の投資も必要ありません。

 

そのため、この段階で最も多くの利益を生み出せることになります。これが「金のなる木」と名付けられている理由です。やがては事業がますます衰退し、図の右下「負け犬」の象限に移行し、最後に事業から撤退することになります。これが導入期から衰退期までの、事業の辿る一生といえます。

 

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※本連載は、中野正也氏の著書『成功率を高める新規事業のつくり方』(ごきげんビジネス出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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