3. FX投資
次いで2006年ごろから手を出したのが、当時流行りだしたFX。株式市場と違って24時間取引ができることから時間の制約がなく、会社員の僕にとっては魅力的でした。
FXは株式の信用取引の何十倍ものレバレッジをきかせられるという謳い文句ではありましたが、ビビりな僕はレバレッジをきかせることなく1倍で1万通貨のみの取引を続けていました。
しかし、取引が株からFXに代わっても相変わらず「利は小さく、損は大きく」のスタイルとなってしまい、トレード結果は損失寄り。株よりも動かす金額が小さかったことから数百円〜数千円の勝ち負けを繰り返すイメージで、時間をとられる割に資産総額へのインパクトはほとんどありませんでした。
ところが、2007年を境に相場が急変します。それまでは日本円が一方的に円安になり、多くの人が利益を上げられる相場でしたが、サブプライムローン問題に端を発するパリバショック、リーマンショックが起こったのです。
当時は、「海に入って子どもと遊ぶ前に何百万円のプラスであるのを確認したのに、海から出てきたらポジションがすべてロスカットされて何百万円のマイナスになっていた」という話があったほどの、急激な円高で多くの人が退場。まったくレバレッジをきかせずにトレードしていた僕でさえ30万円ほどの損失をくらいました。
とはいえ当時のネットを見るかぎり、リーマンショックの打撃が30万円程度で済んだのは、幸運といえるレベルでしたけれど。これを機にしばらくFXからは離れたのですが、2015年にスイスフランショックが起きた際、FX会社のロスカット機能がきかず、証拠金数百万円に対して何千万円ものマイナスが出てしまったという人たちの話を聞いてからは、一生FXには手を出さないことを決め、そこから一切取引をしていません。
投資の基本として、システムトラブルなどで証拠金以上の借金を背負わされるリスクがある投資は避けるべきです。子どもたちにも「株は積極的にやれ、でもFXだけは絶対に手を出すな」と教えています。
4. 電子書籍、商業出版
こうして新入社員のころから20年ほどずっと不労所得を夢見てチャレンジしてきましたが、どれも上手くいきませんでした。
しかし外資系企業に転職し、順調に仕事をこなしていたころ、大きな転機が訪れたのです。2020年のコロナ禍で一気に世界情勢が変わり、仕事が完全在宅勤務に変更になりました。
僕は片道1時間半ほどかけて会社に通っていたので、往復で1日3時間も時間が浮くことになりました。そこでふと頭に浮かんだのが20年前の上司との約束、そして電子書籍の執筆だったのです。
僕が20代で日系メーカーの経営企画室に所属していたころ、当時の本部長からロジカルシンキングや仕事の進め方について教えていただいたことで、劇的にスキルが伸びた時期がありました。その上司の考え方・指導にあまりに感動し、「僕はこの教えを必ず本にします!」と、その上司と約束をしたのです。
とはいえ当時は本を出そうとしても自費出版で100万円くらいする時代でしたから、そう簡単には実現できませんでした。ところが時代が変わり、個人でもまったくお金をかけずに電子書籍を出せるようになったと知り、コロナ禍で生まれた時間を利用して出版をしたのです。
もちろんこの本は上司との約束を守るために書いたもので、利益のことなどあまり考えてはいなかったのですが、ありがたいことに3万冊近くもダウンロードされ、それがきっかけで半年間に3冊も商業出版をすることになりました。そしてこれらの本のおかげで、メディアでの連載記事やオンライン講義などのお話もいただくようになりました。
さまざまな経緯を経た結果、自由な生活を手に入れた
こうした経緯もあり、外資系企業に転職してからちょうど4年後、資産額が1億1,000万円に到達した段階で、「これからは会社にとらわれず、好きで得意な執筆で自由に生きていこう」と考え、退職に踏み切ったのです。
若いころからずっと不労所得を得たいと考えて行動し続けていたからこそ、電子書籍出版にも挑戦でき、執筆という天職に出合えたのかもしれません。人生すべてのことがつながっていて、無駄なことなんてないなと感じます。
寺澤伸洋
作家/講演家
※本記事は『ぶっちゃけFIRE 手取り25万円で子育てしながら1億円ためる方法教えます』(主婦と生活社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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