1ドル150円超の「歴史的な円安」→企業は儲かり、家計は苦しい…個人が資産を守る“たったひとつ”の方法【マクロストラテジストが提言】

1ドル150円超の「歴史的な円安」→企業は儲かり、家計は苦しい…個人が資産を守る“たったひとつ”の方法【マクロストラテジストが提言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

歴史的な円安が続くなか、大企業の経営者などによる“日銀批判”が目立ちます。しかし、実は円安の不利益のほとんどは「家計」が負っており、企業(特に大企業)は円安の恩恵をしっかり享受しているのです。では、円安によって苦しめられている個人が自らの資産を守るためにはどうすればいいのでしょうか。フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が解説します。

円安を嫌う大企業は「純ニッポン企業」を設立してはどうか?

円安を嫌う大企業の経営者のみなさんにはぜひ、日本国民が100%の株式を持つ安全・安心な純国産のサービス企業(オペレーティング・システム、業務用アプリ、検索エンジン、SNS、クラウド・サービス、通信、スマホを含む)や、純国産の製造企業(食品や医薬品など、特に私たちの身体に入るものを作る企業)を作るか、すでにあれば、それらの企業の原材料や製品、サービスを積極的に採用していただきたいと筆者は感じます。

 

そうすれば、日本のサービス収支の赤字は縮小し、円安もいくぶん収まるでしょう。開発に時間がかかるとしても強い意志を示せば、そのときから為替は動くでしょう。

 

グローバリズムに抗う国の通貨は、多くの国から準備通貨としてみなされると筆者は想像します。

 

コストが上がる? 物価が上がる? 賃金をスライドさせれば、我々家計は大丈夫です。

 

国際競争力がなくなる? だったら、そもそも円安を批判しないでください。

 

とはいえ、純ニッポン企業の復活は「望み薄」

こうした分配の増加や純国産のニッポン企業の復活は、望み薄でしょうか。

 

間違いなくそうでしょう。企業や政官が我々家計に分配しない理由は、利益や利権が減るからでしょう。純国産のニッポン企業が復活しない理由は、儲からないし、グローバル投資家が許さないからでしょう。

 

企業は儲かる。家計は苦しい。そして、スマホとコスパのワナにはまる。だとすれば、政治ではなく、資産運用しか身を守れないだろうと筆者は感じています。

 

[図表6]日本企業の経常利益と家計の名目賃金(1990年=100)
[図表6]日本企業の経常利益と家計の名目賃金(1990年=100)

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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