(※写真はイメージです/PIXTA)

困った人を見かけたら、思わず助けたくなるのが人情というもの。しかし、先々のことまで冷静に考えたとき、必ずしも「困った人が歓喜するほどの手厚いサポート」が、本当の意味で助けにならないケース、もっというなら、それ以上に困った状況を生み出しかねないケースもあります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

子育ても、経済も「温かい心」で向き合うだけでは不十分

本稿は、弱者保護を批判しているように読めるかもしれず、読者の中には筆者を冷たい人だと批判する人もいるかもしれません。しかし、筆者は被災地への寄付なども行なっていますし、自分では温かい心を持っていると思っています。

 

子育てには「温かい心」と「冷たい頭脳」が必要です。温かい心だけだと子どもを甘やかしてしまい、子どもがワガママに育ったりしかねないからです。それと同様に、経済を考えるときにも温かい心と冷たい頭脳が必要なのです。

弱者保護のつもりが、逆に「弱者を苦しめる」ケースもある

低賃金労働者がかわいそうだから、最低賃金を上げよう、というのは温かい心から出た政策でしょう。しかし、それによって雇い主が「それなら雇う人数を減らそう」と考えることで労働者が失業してしまえば、弱者が困ることにもなりかねません。

 

「貧しい人が困らないように、狭い家の家賃は安くしろ」という規制も、温かい心から出てくるのでしょうが、それによって貸主が「今後は金持ち向けの広い家だけ建てる」と言いだせば、貧しい人が借りられる家が無くなってしまうかもしれません。

 

「女性の重労働は禁止」という規制も、温かい心から出てくるのでしょうが、雇い主が「それなら男性だけを雇うことにしよう」と言いだせば、女性の失業が増えて女性が困ってしまうかもしれません。

 

女性のなかには「本当に金に困っている。重労働のほうが時給は高いから、重労働を希望している」という人もいるでしょう。「男性のライバルより多く働いて出世競争に打ち勝ちたい」と考えている人もいるでしょう。そうした人々にとっては、「余計なお世話」ですね。

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