今回は、想定外の資金不足を「元本返済の延期」で乗り切った事例を見ていきます。※本連載は、不動産投資家として成功を収めている才津康隆氏の著書『CF不動産投資』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋し、「再生物件」投資で大きなリターンを得るノウハウを、具体的な物件例とともに紹介します。

当初の試算から跳ね上がった「リフォームコスト

前回の続きです。

 

<リフォームのコスト>

計画の目星がついたところで、次に考えたのが「リフォーム資金」のことです。マンモス物件の購入時、リフォーム資金の融資は受けていませんでした。そのため、まずはリフォーム資金の見積もりをすることにしたのです。

 

ところが、蓋を開けてみると意外な事実が発覚しました。当初の試算では、リフォーム資金は1室(50㎡超・3DKあたり60~70万円程度だろうと考えていたのです。ところが、実際の見積もりは1室あたり80~90万円でした。マンモス物件は通常のプロパンガスではなく、簡易ガスを使っていたのです。3点給湯設備の改修が必要だったため、これが原因でコストが上がってしまったのです。

 

しかし、再生前のマンモス物件はまともにお湯が出ない状態だったため、3点給湯設備の改修は外せません。ひとまずこのまま進めてもらい、リフォーム資金の融資を考えることにしました。

 

<トータルのコスト>

マンモス物件のリフォーム計画は、最終的に次の内容でまとまりました。メインは、ファミリー層を意識した設備面の改善です。

 

●キッチンを取り替えてシステムキッチンを導入

●3点給湯設備を導入(洗面化粧台取替え、浴槽取替え、給湯器取り付け、配管工事)

●最低限のクロス張替え

●塗り壁に下地を作り、クロス貼りに変更

●和室を洋室に変更(現状のままの部屋もあり)

 

トータルのコストは、1室あたり50万円~90万円程度でした。また、エレベーターに不具合が発生しており、2基のオーバーホールが必要ということも判明したのです。残置物の撤去、周辺の清掃、個別箇所の補修などの諸経費を含めて、最終的なリフォーム資金は次のようになりました。

 

室内のリフォーム費用:3400万円(50万円×20室、70万円×15室、90万円×15室)

エレベーターのオーバーホール費用:1000万円(500万円×2基)

その他諸経費:200万円

トータル:4600万円

「元本返済の半年延期」でキャッシュフローを確保

<フルローンから再生コストを捻出>

リフォーム資金が4600万円と判明したところで、私はより具体的な資金繰りを考えました。購入時の諸経費も含めると、支出は約6000万円になります。さらに外壁塗装もするとなれば、追加で4000万円は必要です。つまり、再生コストは合計1億円ということになってしまいます。

 

マンモス物件は1億9400万円のフルローンで購入したため、もちろん資金的な余裕はありません。できればキャッシュフローから賄いたかったものの、まだ空室が多数ある段階でした。具体的には、当時の家賃収入は月額約300万円。そこから返済額の約170万円を差し引くと、かなり心もとない状態です。

 

どうすれば無理なくマンモス物件を再生できるのか・・・一見絶望的な状況でしたが、私はここで妙案を思いついたのです。それは、「元本返済を半年延期する」という方法でした。最初の半年間は利子のみの支払いをして、当面のキャッシュフローを確保するという算段です。

 

具体的な数字で説明すると、まず、マンモス物件の月割の利子は約50万円でした。当時の家賃収入は月額約300万円ですから、元本返済がなければ差額は約250万円になります。これが満室になると、家賃収入は月額500万円になり、差額は450万円になるのです。つまり、毎月250~450万円が手元に残る計算になります。

 

これなら、半年間で約2000万円のキャッシュフローを作るのは難しくありません。早速銀行に交渉すると、無事に承諾を得ることができました。マンモス物件の再生計画は、つつがなく動き始めたのです。

本連載は、2016年11月10日刊行の書籍『CF不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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