前回は、空室が目立つ小さな町の「マンモス物件」の再生事例について取り上げました。今回は、再生物件投資を成功に導く「リフォーム」の進め方について見ていきます。

キーワードは「最低限」――コストの抑制がカギ

前回紹介したマンモス物件の再生計画について詳しく見ていきましょう。

 

マンモス物件をリフォームするにあたって、私がまず念頭に置いたのは「最低限」というキーワードです。それまでの経験上、リフォームをやり始めるとキリがないことは分かっていました。やりようによってはいくらでもやれることはあるし、やればやるほどコストがかかるのです。

 

しかし、それでは十分なキャッシュフローは生み出せません。ですから、なるべくコストをかけないことを前提にした「再生しない再生」をテーマにしたのです。

 

それに、再生物件において本当に重要なのはリフォームではありません。客付ができるのか、家賃を上げられるのか、上げられるのであれば、どれくらいお金をかけるといくら家賃が上げられるのかが、投資家にとってはもっとも重要なポイントになります。これらのポイントをクリアできる「最低限」のリフォームにしなくてはいけないのです。

ヒアリングの結果、「大規模修繕」は不要という結論に

「最低限」のリフォーム計画を立てるにあたり、私は徹底的なヒアリングを行いました。その結果、候補に挙がったのは3つのプランです。

 

1.原状回復レベル(家賃の限界:3.2万円)

2.設備面の改善(家賃の限界:3.9万円)

3.間取りを変更し、かつ設備面にもお金をかける(家賃の限界:4.1万円)

 

再生物件というと「大規模修繕」を真っ先に考える方も多いでしょう。私も最初は意識したのですが、ヒアリングの結果、客付けにはまったく影響がないことが分かりました。そのこともあり、「最低限」のリフォーム、つまり「再生しない再生」で十分だという結論に至ったのです。

 

外壁塗装、屋上防水、エントランスの整備、物件名の変更、看板の設置など、満室経営に必須とされていることは数多くあります。しかし、私はそれらのことには一切手を加えませんでした。セオリー通りではなくとも、再生物件の満室経営は可能なのです。大規模修繕のコスト面から再生物件を敬遠している方も、あきらめずにチャレンジしていただきたいと思います。

本連載は、2016年11月10日刊行の書籍『CF不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

CF不動産投資

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才津 康隆

サンライズパブリッシング

不動産投資の第1の目標は「キャッシュフロー1000万円」。そのステージに達するためにはどうすればいいのか。そのステージに立てた後はどう行動すればいいのか。 日本最西端の離島で単身不動産投資にチャレンジし、2年半で家賃…

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