満室になれば自治体人口の数%が住むことに!?
筆者が経験した再生物件の事例を見ていきます。
<事例1>マンモス物件の再生計画
さて、ひとつめの実例は「マンモス物件」です。まずは、再生前の物件の概要をご覧ください。
• 建築年:昭和55年2月築
• 土地:5467.5㎡
• 建物:7888.72㎡
• 構造:鉄筋コンクリート 8階建 124戸
• 所在地:福岡県
• 物件価格:1億9400万円
• 収入:満室時 年間家賃収入 5240万円(概要書上)
• 現況:年間家賃収入 3758万円
• 入居率:124戸中68戸 入居(概要書上)
• 利回り:26%(満室時) 18%(購入当時)
この物件があるのは、人口わずか9000人の自治体です。そこに8000㎡もの巨大な建物を構えているわけですから、満室になれば人口の数%がこの物件に住むことになります。まさに「マンモス物件」と呼ぶにふさわしいこの物件を、私は次の融資条件で購入しました。
【融資条件】
◆融資額:1億9400万円
◆融資総額:2億1400万円(後日追加したリフォームローン2000万円を含む)
◆金利:3.3%
入居希望者に対応し切れない「高齢の管理人」
なぜ購入に踏み切ったかというと、事前ヒアリングの結果、非常に需要が高い物件だと分かったからです。当時は空室が50室近くありましたが、それだけ需要があるのなら、工夫すれば客付けできるはずだと考えました。
というのも、当時のマンモス物件は、高齢の管理人がリフォームも含めすべての業務をひとりでこなしていたのです。そのため隅々まで手が回らず、「案内できる部屋はない」と入居拒否をしている状態でした。空室の最大の原因は、「やるべきことができていない」ということだったのです。
それなら、購入者が問題を解決するのは難しくありません。退去者が出たら、しっかりリフォームをして募集をかければいいのです。あとは、外注できる業務を外注すれば管理人の問題も解決します。こうして、マンモス物件の再生計画がスタートしました。
<再生後のマンモス物件>
具体的な再生の流れは次回で説明するとして、まずはマンモス物件のその後についてお伝えしましょう。
◆入居率:124戸中68室入居(購入当時)→ほぼ100%(空き部屋は成約済)
◆収入:満室時5340万円(購入当時)→6000万円超
◆利回り:26%(満室時)18%(現況)→満室時30 %超
結果的に、マンモス物件は購入から半年後に申し込みベースで満室になりました。再生計画によって、50室もの空室を抱えていた物件が一躍人気物件に変身したのです。
もともと需要があるエリアに近い、近隣の自治体へのアクセスがいい、家賃が安い、ライバル物件がないなど、人気が出る条件は整った物件でした。単純に、再生前の運営に問題があっただけだったのです。
こういった再生物件を活用できれば、不動産投資の結果は飛躍的に伸びます。次回はリフォームの心構えなどを説明します。ぜひ参考にしていただければと思います。