探しものをするためだけに「1年に19日間」も費やしている
家の中が整理整頓されていない人には、だれもが納得する特徴があります。それは、「いつでも探しものをしている」ということです。
生まれてきて物心がついてから死ぬまでに、人は何にどれぐらいの時間をムダにしているかという研究報告があります。それによると、私たちは探しものをするためだけに、平均で1年に145時間もの時間を浪費しているというのです。1日8時間を勤務時間として換算すると、なんと1年で19日間もムダ働きをしているわけです。あくまでも平均値なので、家の中がものだらけの人は、さらに多くの時間を費やしていることになります。
行方不明のハンコを探したり、孫が来たときにおもちゃを探したりしていませんか? この時間は人生のムダそのものです!
私たちの命には限られた時間しかありません。探しものが日常化すると、あなたの人生の時間はどんどん削られて、楽しめる時間が少なくなるという恐ろしい現実が待っているのです。
また、探しものをして待ち合わせに遅刻すれば、相手の時間もムダになります。仕事や人との出会いなど、さまざまなチャンスを逃すことにもつながります。家の片づけ・整理はこれから先の人生にも大きくかかわってきます。ものを探す時間が短くなるよう、整理整頓をしましょう。
遺品整理にかかる費用……
あなたの死後には、遺品整理が行なわれます。家の中のものを処分して、空っぽにする作業です。引っ越しと同じぐらいの難易度だと考えている人もいると思います。しかし、片づけ・整理がされていない部屋の場合、専門業者ですら作業に3日~7日かかり、業者に支払う金額はおよそ100万円にのぼります。信じられないというあなたのために、内訳を表にしました(表1)。遺品整理に不慣れな遺族がするとしたら、もっと時間と労力をかけることになるでしょう。
さらに、孤独死をした場合は、遺品整理だけでなく、部屋の消毒や消臭などのあと始末をする必要があります。家が事故物件となり、遺族は精神的にも経済的にも大きな負担を強いられます。困惑する家族を、私はたくさんみてきました。
あなたの部屋を納得のいく形で整理できるのは、あなただけです。死後の遺品整理のためだけではなく、今日を生きる自分のために片づけが必要です。
私が出会った高齢者の中で本当に元気だと感じる人は「人にものを与えられる人」「毎日しっかりした生活習慣がある人」「みずからの意思で行動できる人」でした。そういった人は「部屋が整理整頓されている」という共通点があります。老後を元気に楽しむなら、まず、自分で片づけを始めましょう。
上東 丙唆祥
生前整理・遺品整理アドバイザー
一般社団法人日本遺品整理協会理事
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