使わないものに年間数万円?
買ったものを箱から出さない、レジ袋に入れっぱなし、洋服を買ったことすら忘れてタグをつけたまま放置している人は意外に多いです。はっきり言います。買ってきてすぐに使わないものは、あなたにとって必要ありません。
すぐに使わないものといえば、寒くなったら着ようと思って買ったインナー、使い捨てカイロ、レトルト食品、キャンプ用品、殺虫剤などがあり、数えたらキリがないと思います。食べものを残して捨てるのはれっきとした食品ロスであり、もはやムダづかいという生やさしい言葉ではすまされません。
これを年間に換算すると、数万〜十数万円にも達すると思います。図は60歳以上の単身世帯の平均生活費です。世帯の構成人数などによって変動しますが、これをベースに計算しましょう。日用品費がこれらの金額を上回るようなら、何かムダづかいをしている可能性があります。
使わないものに年間で何万円もかける生活を続けていれば、整理整頓をしたところで生活用品は増える一方です。片づけのペースは追いつかないでしょう。すぐに使わなくていいのなら、なくても困ることはないはずです。
各種サブスクリプションや定期購読の雑誌など、使っていないものは消耗品以外にもあるでしょう。点検して総額を計算してみることをおすすめします。
「形見」で残された人を悩ませてはいけない
遺品整理の作業をしているとき、形見分けのシーンに立ち会うことがあります。残された人たちはたいてい、形見をどう選べばよいのか迷って悩みます。
あなたの部屋に所有物がたくさんありすぎると、持っていくものを選べず、すべて不要なものとして認識するでしょう。というのも、残された人たちの部屋に、あなたが残した膨大な持ちものは入りきらず、持ち込むことがほぼできないからです。
財産を含めた形見分けは、死んでからでは遅いといえます。持ちものを与えられても、死んだあとは思い出の品であること以外では、うれしさも価値も減ってしまいます。そんなことより、あなたの遺品整理のために多くの時間とお金を費やさなければならず、迷惑だと感じます。これほど、悲しいことはありませんよね。あなたが死んだあとに形見をもらっても、受け取った人はあなたに直接「ありがとう」を言えないため、困るのです。
生きているあいだに思い出を語りながら形見を与えていたら、喜んでくれたかもしれません。
また、形見を与えるのは死後であっても、ものに対する思い出を話しておけば、残された人たちも、あなたの意をくみとって形見を受けとり、遺品整理に取り組めます。思い出を話すことはすばらしいことです。整理された家に人を呼んで、実践してみましょう。
上東 丙唆祥
生前整理・遺品整理アドバイザー
一般社団法人日本遺品整理協会理事
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