日本で増える「孤独」という課題
コロナ禍以前より、日本の社会問題として「孤独」が深刻になってきている。人口が減少する中でも社会的なつながりを強め、孤独と孤立を解消することが求められているのだ。
ひと昔前には核家族4人暮らしが一般的だったが、2040年には家族の平均構成人数が2.1人となる予測がある。おひとりさま世帯およびグループが増加傾向にあるのだ。世帯構成人数が減少し、地域のつながりが弱まっている中、孤独を感じる人たちが増えており、社会的コストが問題になっている。
図3―4は「家族以外の人」と交流のない人の割合を示したものだが、日本はOECD諸国の中でも、孤独を感じている人の割合がとくに高い。イギリスで調査された孤独の社会的コストを日本の人口に割り戻して試算すると、約24兆円の費用となる(図3―5)。イギリスでは”孤独担当大臣”が配置され、孤独に対する政策が加速している。
「ワンファミリー」という構想
家族で子どもを育てるのではなく、地域とコミュニティで育てるのが正解であり、早く移行したほうがいい。子どもの養育において実親や戸籍を重視すると、繁栄からますます遠ざかる。
「自分の子ども」という概念を持ち続けることには限界がある。子どもはコミュニティで育てなければならない。この国のコストの中心は社会保障費であり、その中核は孤独と孤立である。
くじ引きでメンターやマスターを決めて、クラス替えのように毎年入れ替わる仕組みを導入してでも世話をし、世話をされるというつながりを作らなければならない。
山口 揚平
ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社
代表取締役