(※写真はイメージです/PIXTA)

FXや電子マネー、仮想通貨などのデジタル資産。これらは相続対象でありながら、相続人が見つけにくいことが問題になっています。不動産事業プロデューサーである牧野知弘氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より、これからの時代に避けては通れない「デジタル相続」について、詳しく見ていきましょう。

これからの「デジタル相続」の可能性

考えてみれば、そもそも通貨というものは相互間の信頼に基づいて流通しているモノにすぎず、これはすでに現金といったモノの領域を超えて、口座という仮想空間で勝手に動き回るソフトとして認識されています。

 

そういった意味では仮想通貨に代表されるようなデジタル資産の領域はすでに社会においては確立されており、さらに種類が増えて拡張していく最中にあるともいえます。

 

であるならば、これらをすべて包含するデジタル上ですべての資産を取り込んでしまうことは、社会的にも非常に重要な意味を持つことになると考えます。デジタル相続ができるようになれば、相続に備えていろいろな準備も簡単にできるようになるでしょう。

 

まさにAIを駆使して、5年後、10年後の自身の財産がどのように変わっていくのか、ローンを組んでマンションを買うべきか否か、どんな分野に投資を行えばよいのか、様々なシミュレーションが簡単にできるようになるでしょう。

 

戸籍謄本や住民票なども連結させておけば、相続人がすぐに特定できる。相続の際も、いちいち金融機関から残高証明を取り寄せたり、口座を閉鎖するために窓口に赴いたり、役所に行って各課で手続きを行うなどといった面倒な工程をすべてオンライン上で済ませることができるようになるでしょう。相続税の計算もたちどころに行われ、納税もエンターキー1本で「はい、おしまい」にできるはずです。

 

国はデジタル庁を立ち上げていますが、いまだに国民にはその目指す方向性が良く伝わってはいないように感じます。これからの大量相続時代、こうしたデジタル化の作業をぜひデジタル庁などが音頭をとり推進していただきたいと思います。

 


牧野 知弘

オラガ総研 代表取締役

 

 

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※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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