(※写真はイメージです/PIXTA)

FXや電子マネー、仮想通貨などのデジタル資産。これらは相続対象でありながら、相続人が見つけにくいことが問題になっています。不動産事業プロデューサーである牧野知弘氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より、これからの時代に避けては通れない「デジタル相続」について、詳しく見ていきましょう。

相続の複雑化で、想定外の加算税・延滞税が発生するケースも

しかし「知らなかった」では済まされません。遺産分割協議書を作成する際に、この事実に気づかずに申告。その後発覚して相続がやり直しになる、加算税・延滞税を徴収されるなどの事態になると大変です。

 

以前は親が亡くなったら、実家に赴き、金庫や抽斗を開けて、銀行や郵便局の通帳を取り出し残高を確認する。証券会社などから郵送されてくる取引残高通知書を確認して、証券会社に届け出るなどといったことを行ってきました。

 

しかしこれからの相続は、親の持っていたスマートフォンやタブレット、パソコンの中身までチェックしなければ、財産の全容を解明できない時代になってきています。厄介なのが、これらの取引を行っていることが相続人からは見えにくいこと。また親だけが知っていたIDやパスワードに阻まれて、スマートフォンすら立ち上げることができないことです。

 

今後ますます紙媒体によって資産内容が確認できない時代になれば、相続申告の形態を改正して、相続もデジタルで行うことを考えていくべきなのではないでしょうか。

 

たとえば国民全員への配布が計画されたマイナンバーカード。

 

コンビニで住民票が取れるなどといった小さな便利さを提供したり、マイナポイント発行といったすでにある電子商取引におもねったようなサービスを付加するばかりではなく、各人が持つ金融資産のみならず、不動産を含めた全資産を早期に紐づけして、全財産の把握がオンライン上で容易にできるようにしたいものです。

 

財産のすべてがマイナンバーカードのもとで一括して管理できるようになり、財産の移動に関して、統一的なパスワードを用いるようになれば、相続の際の手続きも一括ですべてを終わらせることができるようになるはずです。

 

不動産についても、登記を電子化することでマイナンバーカードに紐づけされ、売買にあたってもオンライン上の取引で行えるようになれば、所有者不明土地の問題も急速に解決されるようになることでしょう。

 

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次ページこれからの「デジタル相続」の可能性

※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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