多くの人が恐怖する「巨額の財政赤字」だが…
日本政府は巨額の借金を抱えているので倒産する(財政が破綻する)と考えている人も多いのでしょうが、筆者はあまり心配していません。日本人投資家にとって日本国債が最も安全な資産なので、日本政府が資金繰りに困ることは考えにくいからです。
そのあたりについては、前回の拙稿『日本政府の財政赤字は巨額だが…「財政破綻は起こらない」といえる、3つの理由【経済評論家が解説】』を併せてご覧ください。
日本人投資家が日本国債を買わなくなる可能性も否定はできませんが、そうなっても最後の瞬間に大逆転が起きると筆者は予想していますので、シミュレーションしてみましょう。
国債が暴落し、国債の新規発行が不可能に
ある日、大手格付機関が日本国債の格付けを投機的に引き下げた。機関投資家の中には投機的格付の債券を保有禁止と決めている所も多いので、そうした投資家からの売りが殺到した。そうなると、それ以外の投資家も「値下がりする前に急いで売ろう」と考えるので、売りが売りを呼び、暴落が止まらなくなった。政府日銀が必死に買い支えたが、額面100円の国債価格を30円で支えるのがやっとだった。
国債の価格が暴落しても、政府が損をするわけではない。損をするのは国債を持っている投資家である。しかし、政府が新しく国債を発行しようとしても、誰も買わないので、政府は資金繰りに窮することになる。公務員の給料も払えず、過去に発行した国債の満期に償還できず、破産(財政の破綻)は避けられそうもない。
円が嫌われ、ドルが爆騰
日本政府が破産すると考えた人々は、「日本政府の子会社が発行した日本銀行券」が紙くずになると考えて、急いで手放そうとした。日用品はすぐに売り切れ、不動産等は取引に時間がかかるので、人々は急いで外貨を買った。そこで、ドルの値段が急騰した。
政府日銀はここでも必死の介入をしたが、1ドル300円程度で止めるのが精一杯だった。外国人が円をドルに替えて逃げ帰るだけではなく、日本人も銀行預金を引き出してドルを買ったのだから、政府日銀が頑張っても全く力足らずだったのである。
誰もがこの世の終わりを予想し、日本経済の今後、自分自身の今後等についての不安に怯えていた。ただ一人勝利の美酒に酔っているのは日本国債を空売りしている投機家だけであった。