40代サラリーマン、月収33万円…懐かしいメンツの飲み会で「給料いくら?」の問いに見栄を張るも、勝ち組同窓生のひと言に撃沈【就職氷河期の根深い問題】

40代サラリーマン、月収33万円…懐かしいメンツの飲み会で「給料いくら?」の問いに見栄を張るも、勝ち組同窓生のひと言に撃沈【就職氷河期の根深い問題】
(※写真はイメージです/PIXTA)

自分の仕事や環境にそれなりに満足していても、やはり気になるのが他人の給料だ。同じ大学で同じ卒業年度のスタートでも、年月が経過すれば明らかな差が…。実情を見ていく。

大学時代の旧友…再会して衝撃を受けた、あまりに大きな格差

同じ大学の同じ学部で机を並べていた同級生。しかし、希望に胸を膨らませて選択した卒業後の「進路」によって、シャレにならないほどの格差が生じることがある。同じレベルのスタートだったのに――。

 

ある40代の男性は、自嘲気味に語る。

 

「たまたま大学で仲のよかったグループが、メンバーの結婚式の二次会で再会たのをきっかけに、集まることになりました」

 

大学卒業後の同級生の付き合いは、仕事や家庭の事情等によって、どうしても濃淡ができがちだ。あまり積極的に交流していなかった男性だが、ある程度の人数で集まろうと話が盛り上がり、つながりのあるメンバーとして声がかかったのだという。

 

「ケータイに親しげなメッセージが入っていて、つい懐かしくなり、わざわざ東京へと出かけていったのです」

 

男性の拠点は、出身地の中部地方。たまたま地元に興味のあるビジネスを展開している企業があり、そこへ入社した。仕事内容も興味深く、人間関係も良好。とくに不満もなく働いていたという。

 

しかし、同級生たちとの再会で、男性は圧倒的な差を見せつけられた。

 

「お酒が進み、話は次第に仕事から給料へと広がっていきまして…」

 

男性が、現在の月給を「40万円ぐらいかな…?」と、軽く見栄を張って話したところ、「うそだろ? それだけ!?」「おいおい、よくやっていけるな!」と矢継ぎ早に突っ込みが入ったという。


男性の本当の給料は33万円。

 

「その場では笑い飛ばしましたが、あとからボディブローのように効いてきました」

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大学を卒業したばかり、20代前半のサラリーマンの平均給与は、月収で大企業24.7万円、中小企業23.6万円。年収は大企業370.3万円、中小企業328.6万円。給与差は月1万円強、年収で40万円強。

 

しかし残酷なことに、その給与格差は年齢があがるにしたがって大きくなり、45歳では月8万円強、年230万円弱にもなる。給与がピークを迎える50代では、その差は月13万円強、年330万円強となる。

 

◆年齢別・サラリーマン「大企業と中小企業」の給与

 

20~24歳:24.75万円(370.30万円) / 23.61万円(328.64万円)

25~29歳:29.22万円(518.22万円) / 27.27万円(409.62万円)

30~34歳:35.31万円(626.58万円) / 30.21万円(466.89万円)

35~39歳:41.45万円(753.49万円) / 34.09万円(528.92万円)

40~44歳:46.70万円(810.02万円) / 37.75万円(582.36万円)

45~49歳:50.81万円(882.23万円) / 42.28万円(652.63万円)

50~54歳:56.87万円(988.86万円) / 43.19万円(653.00万円)

55~59歳:58.34万円(1,009.77万円) / 45.25万円(676.55万円)

60~64歳:48.78万円(801.24万円) / 39.42万円(578.19万円)

 

※数値左より大企業(従業員1,000人以上)の月収(年収)/中小企業(従業員10~99人)の月収(年収)

氷河期の就職活動、帰郷してうまく乗り切ったつもりが…

40代の男性の月収33万円は、大卒の中小企業勤務のサラリーマンの平均よりさらに低い。一方で、同級生が勤務する大企業のなかには、平均給与を大きく上回り、年収1,000万円を軽く上回っているところもあるという。

 

東京と地方、そして大企業と中小企業の格差を見せつけられた挙句、みんなからかけられた心配や同情の言葉に、うっすらと面白半分なニュアンスまで感じてしまい、いたたまれず、1軒目で退散した。

 

「東京の大企業より給料が低いことなんて、百も承知で就職したんですけどね…」

 

男性の大学時代は、いわゆる就職氷河期だった。この厳しさは半端ではなく、若年失業率が10%前後と高い水準だった「超氷河期」とされる2000年は大卒就職率は55.8%、大卒の学卒無業者は22.5%にも上ったのである。

 

男性は東京での就職に早々に見切りをつけ、地元での就職をリサーチ。幸運なことに、関心のある領域でビジネスを展開する企業と巡り合い、喜んで就職した。

 

「就職が決まったときは自分をラッキーだと思いましたし、妻とも会社で出会うことができ、幸せをつかんだと思っていたのですが…。同級生が世帯年収2,000万円超、パワーカップルでタワマンに暮らしているなんて話を聞いたら、つらくなってしまって…」

 

一方で、同級生のなかには非正規のままだったり、ブラック企業勤務で体を壊して療養中の人たちもいる。

 

「愛する妻がいて、仕事も楽しい。人と比べても仕方ないのはわかっています…。同窓会なんて、行かなきゃよかった」

 

男性の心の痛みが癒えるには、しばらく時間が必要なようだ。

 


[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

 

 

 

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