今回は、「本物の財産」が手に入るといえる海外不動産投資の概要について解説します。※本連載は、国際自由人・藤村正憲氏の著書『国際自由人』(IBCパブリッシング)中から一部を抜粋し、海外投資で成功できるノウハウを分かりやすく具体的に解説します。

今後大きく値上がりすることはない「日本の不動産」

ここまでは金融商品を見てきたが、海外投資のメリットを本当に活かすのは、海外不動産投資だ。不動産投資はコンドミニアムなどの現物を買うことになるので、どうしても現地に行って確認しなければならないが、手間ひまかけた分だけ、本物の財産を手に入れることができるのが魅力といえる。

 

株は会社が倒産したら単なる紙切れになってしまう。でも、不動産は多少相場が落ち込んだところで、そのもの自体に価値があるわけだから、価値がゼロになることはない。インフレにも強いし、所有する不動産を担保にして借入れをすれば、レバレッジを効かせた投資も可能だ。不動産を所有していればその国の滞在ビザも出やすいから、自分で住んでロングステイをしてもよい。ここからしばらくは、不動産投資について詳しく見ていこう。

 

不動産投資は、値上がりによるキャピタルゲインを求めるか、賃貸経営による家賃収入を求めるかでスタンスが分かれる。アメリカなどの先進国に投資をするなら賃貸収入が重要になるが、不動産投資ならではの大きな利益を求めるならば、値上がりが期待できる優良物件を中期的に保有してキャピタルゲインを目指す投資が一番だ。新興諸国は、みんな値上がりする前にマイホームを買いたいと思っているから、無理をしてでも銀行ローンを組んで購入している。

 

だから、賃貸需要は高くはなく、家賃もさほど高くは取れないのだ。管理費用や修繕費用がかかることを考えると、賃貸で大きな利回りを期待するのは難しい。

 

日本では、不動産の値段は下がり気味で、これ以上大きく値上がりすることはないだろう。東京都心はまだ高いが、入居者のいないオフィスビルがごろごろしている。郊外に行くと、買い手のつかない中古マンションがたくさん売りに出されている。でも、戦後の焼け野原だった時代から比べれば、土地の価格は千倍以上に上がっている。戦後が終わった昭和二十六年ごろからバブルの終わり頃までの物価上昇はせいぜい八倍程度だから、とんでもない上がり幅だ。

今、リスクとリターンのバランスが一番よい国とは?

今ではとても信じられないが、かつては田園調布の土地が宝くじの賞品だった時代もあったのだ。バブルを経験した世代は、地上げ屋が都心に住む住民を立ち退かせて高層ビルをどんどん作っていった頃を覚えているだろう。昔は住宅ローンも一般的ではなかったから気軽に投資とはいかなかったが、タイミングよく不動産投資ができていれば、誰でも大金を生み出せるチャンスがあった時代は、日本にも確かにあった。

 

日本の価格上昇は強烈だったが、似たような現象が、世界のいろいろな場所で起こっている。北京の家賃が十年で三倍になったという話は先にしたが、売買価格の上昇も激しく、ここ十年間でやはり十倍上がった物件もある。もちろん、どの物件も上がったわけではないが、二〇一三年の一年間だけでも平均二〇%以上上昇している。これはもちろんバブルだ。この勢いがこれからも続くか、そろそろバブルが弾けるかは見方が分かれるところだ。

 

中国で不動産を所有しようとすると、実際に居住して中国政府に所得税を納めるか、不動産投資会社を設立しないとならないためハードルが高いが、十年前に行動して住宅を買った人は、売り時を間違えなければひと財産作れたはずだ。

 

では、どのタイミングで不動産価格は上昇しやすいのだろうか。基本的には、その国の人口が増えていき、経済が発展して新興諸国・中進国の仲間入りをしそうな時期が狙い目だ。

 

当然、日本国内や先進国に不動産投資をするよりは不確実だが、リスクとリターンのバランスが一番よい時期といえる。十年前の中国がその時期に当たっていたし、今はマレーシアがこの時期に当たっている。もちろん、経済情勢は刻一刻と変わるから、数年後にはまた別の国がホットになるはずだ。

国際自由人

国際自由人

藤村 正憲

IBCパブリッシング

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