投資よりギャンブルに近い「FX」
海外投資は、大きく分けると、金融商品への投資と不動産投資に分かれる。ここでは、海外投資の種類について見てみよう。まずは金融商品から。
[FX]
いきなりFX(外国為替証拠金取引)というと拍子抜けするかもしれないが、FXは、海外投資をこれまでやったことがない人が、感覚をつかむのに一番いいと思う。正確な説明ではないが、外貨を売り買いして、為替レートの変動を利用して利益を出そうとする投資と言える。
為替レートは世界の経済情勢を反映して刻々と動くので、相場の動きを知る上でよいし、決断力が身につく。数万円の元手ではじめることも可能だ。さらに、実際の通貨が手元になくても取引できるので、通貨の価値が上昇するときも下落するときも、利益を出すことができる。
投資を本格的に始めるうえで一番大切なのは、値動きに一喜一憂しないように、感情をコントロールすることだ。まず十万円程度のお金を授業料だと思って、なくなってもよいつもりで運用してみよう。
ただ、短期的な為替の動きをピタリと当てるのは難しく、FXは投資というよりはギャンブルといったほうがいいだろう。ゲーム感覚で気軽にできるのはいいが、慣れたら次のステップに進んでほしい。
投資信託の運用コストが抑えられる海外口座での取引
[海外投資信託]
海外投資信託も、日本の銀行や証券会社で取り扱っているので、手っ取り早い海外投資ではある。一言でいうと、投資の「プロ」に手数料を払って、資金を運用してもらう商品で、先進国中心のもの、新興諸国メインのものなど、いろいろな種類がある。ただし、日本で買える海外投資信託は、日本の金融機関の手数料や翻訳料などが上乗せされているので、その分だけ利回りは悪くなる。また、種類も限られてくるので、本格的にやるのであれば、海外の銀行に口座を開設したほうがよいだろう。
海外の銀行に口座を開設するにあたって、一番メジャーなのは香港の銀行で、例えばHSBCのアドバンス口座であれば30万円弱、下のグレードのパーソナルインタグレーテッドアカウント口座なら15万円弱で開設できる。シンガポールの外資系銀行でも、紹介状があれば口座開設は可能だ。これらの銀行を利用すれば、投資信託商品、あるいは株式もローコストで売買できるし、税制面でも有利になることがある。
こう書いておいて何だが、個人的には投資信託は利用しない。一つには、投資判断を人任せにしてしまい、自分の目で見て決断するというポリシーに反するからだ。また、信託先から送られてくるレポートの内容に不満が残る。どういう理由で何に投資し、結果はどうだったかということが個別銘柄単位で書かれていないので、的確な運用がなされているのかどうか、分析が困難なのだ。
でもそれは、現地にアンテナを十分に張れた、投資に慣れている人の話。新興国の株式を現物で買おうと思っても、たいていは十分な情報が得られず、手探りで投資しなければならない。日本にいながら気軽に新興国への投資を試すには、投資信託は現実的な選択肢だろう。
[株式]
外国株式も、日本のネット証券会社で取り扱いが増えている。会社によって、アメリカ株が強かったり中国株が強かったりと違いがあるので、投資したい国を決めてから口座を開設するとよいだろう。ただ、銘柄数が限られているし手数料がかなり高いので、本格的にやるなら、やはり海外で銀行口座開設をすることになる。
国内株式の場合と同様、株の現物を買うとまとまった資金が必要になるが、CFD(差金決済契約)を使えば、数万円程度の少ない資金でスタートできる。例えば、グーグル株を日本の証券会社で買うと10株単位の売買になり、100万円以上の元手が必要になるが、CFDを利用すれば、その10〜20%の額で投資可能だ。CFDは、個別銘柄だけでなく、アメリカ株式市場のダウ・ジョーンズ指数などにも投資することができる。日経平均に投資するようなもので、手軽なリスク分散投資が可能だ。