日本人は、本当はもっとお金を貯められるはず
海外不動産投資を行うには、どのくらいの資金が必要だろうか。多いに越したことはないが、マレーシアのように銀行ローンが組める国なら、五百万円程度から始められる。ただし、マレーシアは二〇一四年四月から、外国人が購入できる不動産の最低価格を百万リンギット(三千万円)に上げるので、そうなると必要な頭金は増えるだろう。
一千万円ぐらいいつでも出せる、という人も日本にはたくさんいる。そういう人はいいけれども、そんな蓄えはない、という人もいるかもしれない。そう思ったら、一度家計の見直しをすることをお勧めする。
日本人の貯蓄率は、一九七〇年代には二〇%を超えていたが、今では平均して一%台になってしまった。リタイアメント世代はまだ財産を持っているはずだから、現役世代に貯金をする余裕がなくなってしまったのだろう。これでは、仮に仕事を首になったり、病気になったりしたら、ただちに生活が立ち行かなくなるレベルだ。
日本人は、本当はもっとお金を貯められるはずだ。日本の物価は、実は相当安くなっている。オーストラリアやアメリカ、シンガポールなどに行くと、生活必需品の価格がずっと高いのにびっくりするだろう。切り詰めて生活をすれば、給料が大幅に下がっても、貯金はできるはずなのだ。
【図表】
まずは無駄を減らし、収入の1割を貯蓄にまわす
では、なぜ切り詰めることができないのだろうか。バブルの時代には、無理してフェラーリを買って、アパート暮らしをする人もいた。今でも、見栄っ張りのメンタリティは変わっていないように思う。
分不相応のブランド品をつけたがったり、やたらと贈り物をしたりと、必要でないことにどんどんお金を使ってしまう。シンガポールの駐在員の奥様方を見ていても、金遣いの荒さにはびっくりしてしまう。若い人はお金を持っていないけれども、やはり好きなことに有り金全部つぎ込んでしまう、キリギリス体質の人が多いように思う。
もちろん、一生もののバッグや時計など、上質のものを買うのはいいことだ。いいものを身につけている、という満足感も大きいし、身に着けているものに見合った自分にならなければと思って生活のモチベーションを高められる人もいるだろう。ただ、本当に必要なものに厳選して、生活の無駄を省くことが大事だ。
貯金は、将来の幸せのための資金だ。ドイツやフランスの貯蓄率は一〇%を超えているし、消費大国のアメリカでも、五%強の貯蓄率だ。彼らは政府の社会保障を信用していないから、自分の老後の幸せを守るために貯蓄をし、投資をするのだ。
あなたも、貯金が十分でなければ、今日から収入の一割を貯蓄するようにしよう。サラリーマンなら財形貯蓄で天引きしていけば、いやでも貯まるはずだ。飲み会や缶コーヒーなど、減らせる無駄はたくさんあるから、強制的に貯金してしまえば何とかなるものだ。まずは年収分の貯金ができれば、また違う世界が見えてくるはずだ。