(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁の調査によると日本の正規社員の平均年収(給与)は約523万円であり、この額で40年間働いたとすると年金は月におよそ15万円もらえる計算となります。支払った金額から考えると、「長生きしないと損しているのではないか」と思いがちですが、それでも親世代よりは「得している」という考え方もあるようです。

年金受給者の数が増え続けると…「支える側」が大変?

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は523万円、月額にすると約43.6万円です。手取りにすると31〜32万円ほどでしょうか。

 

就職から定年まで、40年間厚生年金に加入していたとすると、およそ月額15万円が給付されることになります。給与でもらっていた額の半分以下ですし、今までに支払った額を考えれば、長生きをしないと「損でしかない」と思うかもしれません。

 

日本の年金は賦課方式であり、現役世代が納めた保険料を年金受給者が受け取っています。超少子高齢社会にある日本では、「支える側(現役世代)の負担」が大きくなる一方であることは自明であり、「年金制度は崩壊している」とよく論じられます。

 

「今の高齢者が受け取っているように、自分たちが受け取れるかはわからない。それなのに年金を支払い続けるなんて、生まれた年代によって不公平だ!」

 

といった声はよく聞かれます。世代間格差の問題は深刻です。

 

しかし、「支える側」の立場でみると、「それでも現役世代は得をしている」という考え方があります。これは一体どういうことでしょうか。

年金受給世代の若かりし頃…「昭和30〜40年代」では

まず、もし公的年金制度がなかったらどうなるのでしょう。厚生労働省が運営している『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜 ー 厚生労働省』には、以下のような記述があります。

 

“公的年金制度があってもなくても、高齢者は誰かが扶養する必要があります。

 

現在の受給世代が若かった頃は、公的年金も今のように多くの人が受給していたわけではなく、受給していたとしても額が少ないこともありました。そのため、多くの人が自分の収入から親を扶養していました(私的扶養)。

 

現在では公的年金制度が充実し、生活の支えとなることで、個人で親を扶養する負担は昔と比べれば軽くなりました。これまで自分の収入で親を養っていたのが、公的年金に移行していったのです(社会的扶養)。”

 

“もし公的年金がなかったら、私たちは両親や祖父母を自分たちで扶養することになります。

 

兄弟姉妹が多くいた時代は、みんなで手分けをして両親や祖父母を自力で扶養することができました。けれど、少子高齢化が進んだ現在、高齢者の私的扶養には、昔以上の大きな負担が必要になると考えられます。”

 

自分が受給する側になったときの話ではなく、「支える側」として考えたとき、「年金がなければ、親を扶養する金額が大きな負担となる」という考え方です。確かに超少子高齢社会となり、高齢出産も増えた現代において、親を扶養する負担が大きければ、子育ての金銭負担とも重なり、社会は成り立たないかもしれません。

 

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