前回は、有名人が「法人」を設立する際に押さえておくべきポイントを紹介しました。今回は、法人の「決算」はいつ行うのがベストなのか、具体的に見ていきます。

おすすめは「1月・2月・4月・5月」!?

④決算期の決め方

 

川崎:決算とは、一定期間の収入・支出を計算し、利益または損失(損益)を算出する時期をいいます。法人は自由に決算期を決めることができます。

 

ジュン:おすすめの時期はありますか?

 

川崎:この決算期は3月や9月からずらすことをおすすめします。その理由の一つに、日本の場合は多くの法人の決算期が3月に偏っています。これは大企業や官庁に合わせているからです。税務手続きが込み合う時期なので、あえてずらすほうがよいかと思います。

 

もう一つは、最近になって12月末決算法人が非常に多くなりました。それは海外取引をしている会社です。アメリカでは自由に決算期が設定できるのですが、ほとんど12月です。

 

主要な取引先がアメリカのケースであれば12月が多くなります。これが中国の場合だと、事業年度が法律上1月1日から12月31日に決まっているので、決算期を12月にせざるを得ない背景もあります。うちの事務所のクライアントでも12月末に事業年度を変更してきている法人が多くなってきました。

 

タカ:込み合っていない時期がいいのですね。

 

川崎:込み合っていない時期でいうと、一つは3月末を避けること。それから12月末も避けてほしいのですが、考えてみたら1月1日から12月31日、非常にわかりやすいです。しかし、個人の確定申告というのは、必ず1月1日から12月31日を3月15日までに申告するのです。申告と決算が重なるのを避けるという意味では12月末でないほうがいいかもしれません。

 

しかし、逆に個人の確定申告に合わせた方がいいと思う人は12月末でも構いません。意外と少ないのは、9月末です。以前は多かったのですが、9月末にしてしまうと、9月末で締めて税金の納付は2カ月後、もしくは3カ月後で11月か12月になります。

 

ヨシト:たしかに納税時期まで考えないといけませんね。そうすると暮れの資金繰りなどに重なってしまいますから、それは避けたほうがいいような気がします。

 

川崎:すると10月も同様です。6月末も夏休みに入るから避けて考えると、1月、2月、4月、5月あたりでしょうか。

法人の設立時には「様々なコスト」がかかる

⑤法人の種類と法人設立時にかかるコスト

 

法人を立ち上げるには、コストがかかります。法人の種類によってもその費用は変わりますが、ここでは株式会社の費用をご紹介します。

 

<法人設立時にかかるコスト(株式会社の場合)>

 

資本金は、最低額1円から設定可能です。上限はないのですが、資本金を1000万円未満にすると、消費税の免税業者になることができたり、様々な特典を受けられます。

 

法人設立費用として、定款認証代、定款印紙代、登録免許税など。司法書士など専門家に依頼すると、それに加えて手数料が発生します。しかし、オンライン申請を利用することができるため、定款印紙代の4万円を節約できます。その他、印鑑を用意します。

 

またインターネットから、自分で申し込めるサービスもあります。

 

【図表 会社設立に発生する費用】

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『「有名人」のための資産形成入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「有名人」のための資産形成入門

「有名人」のための資産形成入門

安次嶺 格

幻冬舎メディアコンサルティング

一般的なサラリーマンより高収入な人の割合が大きい有名人。 しかしながら将来にわたって安定した収入が得られる保証はなく、いつ転落人生を迎えてもおかしくはありません。そこで本書では、長期的な視点で確実に資産を築くた…

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