前回は、法人の「帳簿付け」はどのように行えばいいのか、具体的に説明しました。今回は、有名人のための「賃貸事業に詳しい税理士」の選び方を見ていきます。

国税の「4法」をしっかり理解している税理士が適任

川崎:いってみれば税理士は賃貸事業者の皆様にとってパートナーです。ただ、数字の計算をする・・・という役割だけではありません。

 

ジュン:弁護士さんが離婚専門、法人専門と、専門分野が分かれているではありませんか。税理士さんの場合どうなのですか?

 

川崎:税理士になるまでの経歴によってだいぶ違ってくるのです。例えば、税務官庁出身の方がいたり、国家試験組もいます。最近多いのは大学院へ進んで、大学院で資格をもらっている人もいます。

 

ジュン:税理士さんに一番必要な能力とは、何なのでしょうか?

 

川崎:やはり法律家なので、法律家としての素養があるかというのが第一です。昔は計算書や申告書など、残高試算表をつくることがメインだったので計算能力が高い税理士が良しとされていました。

 

しかし、今はそのような時代ではなくなってきました。というのも、それらの業務はコンピュータがやります。簿記の知識がなくてもできてしまいます。要するにそれなりの法律を理解していないと税理士業ができなくなってしまっているのです。

 

タカ:経営に関わるような形で、税理士さんとも密接なパイプを持っておくことが大事ですか?

 

川崎:法人税と所得税と相続税、プラス消費税など、国税の4法をしっかり理解している人でなければ、有効なアドバイスができないでしょう。出身がどこであれ、しっかり勉強している人に託すべきですね。

 

ジュン:そんなに差があるものですか!

大金が絡む相続…豊富な実務経験を持つ税理士を選ぶ

タカ:僕たちのような素人が、どうやって判断すればいいのでしょうか。

 

川崎:経歴を本人から聞くしかないでしょうね。でも結局、誰かの紹介が一番安心できます。

 

ヨシト:相続については、必ず専門の税理士をお願いすべきだと聞きました。

 

川崎:そうですね。相続税は、かなり特殊な分野です。相続税は、他の税金と少し違う性質のものです。また様々な法律がからんでいます。税法以外では民法の中の様々な法律知識が必要です。

 

もちろん、知識だけでなく実務経験も必須です。相続税を負担する方はかなりの資産家が多いですから、税金も大きな額になります。それを失敗すると、多額の税が発生するケースは我々も多く見てきました。億を超える場合もあります。

 

ヨシト:責任重大ですね!

本連載は、2016年9月9日刊行の書籍『「有名人」のための資産形成入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「有名人」のための資産形成入門

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安次嶺 格

幻冬舎メディアコンサルティング

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