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老後の生活設計のために作成したい「財産目録」と「収支計算書」

前回は、若いうちに老後の生活設計をしておくべき必要性を見てきました。今回は、老後の生活設計のために作成したい「財産目録」と「収支計算書」について説明します。

老後の「総合的な財務プラン」は弁護士に相談

リビングウィルノートは、

 

①衣食住に関する希望

②介護に関する希望

③医療に関する希望

 

の3分野に分けて、それぞれできるだけ細かく書くようにするといいでしょう。内容としては、次のような項目が入るかと思います。

 

•生活する上の希望(食事、身に着けるもの、寝具など衣食住にまつわること)

•自宅で過ごしたいか、施設に入りたいか

•自宅で過ごすとしたら、誰に介護を頼みたいか

•施設に入る場合、どのような施設を希望するか

•病気になった場合、どの病院の、どのような医師に診てもらいたいか

 

一度に全部書くのは難しいので、まずは一番譲れない部分だけを書き、後から思いつくたびに追加していくようにするといいでしょう。

 

また、リビングウィルノートと並行して、自分の全財産の内容について記した「財産目録」と、1年間の収入と支出の額を記した「収支計算書」を作ることをお勧めします。なぜかというと、後者2つを併せて作ることで、リビングウィルノートに書いた理想の老後がどの程度実現可能なのかを判断することができるからです。

 

逆に言えば、現在の資産状況で、リビングウィルノートに書いた内容をどこまで実現できるのか、知る手がかりを得ることができます。

 

リビングウィルノート・財産目録・収支計算書の3点セットを自力で作ることが難しい場合は、プロの力を借りるといいでしょう。

 

老後資金設計はファイナンシャル・プランナー(以下、FPと表記)の専門分野なので、FP事務所にあたってみるのもひとつの方法です。

 

ただし、この3点セットを使って分析した結果を、任意後見契約をはじめとするさまざまな契約に反映させ、実行性の高いものにしたいのであれば、最初から弁護士に頼んだ方がいいでしょう。FPは、老後資金のプランニングにおいては頼りになる存在ですが、法律的な知識が必要な契約関係においては、弁護士の力が欠かせないためです。

 

とはいえ、弁護士であれば誰でも頼りにできるというわけではありません。前回の連載でご説明したように、財産委任契約や任意後見契約は、法律さえ分かっていればいいというものではありません。総合的な財務プランを立てる力が求められるので、ある程度財務に詳しくて数学的なセンスのある弁護士でないと、せっかくの契約で利益が最大化できない可能性があります。

 

保有している資産を有効活用し、快適な老後への備えにとどまらず、相続まで見越した長期的プランを策定できる弁護士を、ぜひ選んでください。まずは、認知能力の低下する老後に備えて法律相談できる顧問弁護士をさがしておくことをお勧めします。

老後の生活に関する積極的な「情報収集」を

最後に、私から皆さんにぜひお願いしたいことがあります。それは「情報収集力を磨いてください」ということです。

 

テレビ、新聞、インターネット、口コミ、本や雑誌、あるいは自治体が発行する広報誌など、媒体はどのようなものでもけっこうです。自分の老後に役立ちそうな情報をキャッチする感覚を、研ぎ澄ますようにしていただきたいのです。

 

例えば、私は書籍の第1章で「今から10年後には、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症する」とお話ししました。非常に怖いことです。

 

しかし、「ああ、怖い。自分はそうはなりたくない」と思うだけで終わりにはしないでください。

 

認知症の研究はどれくらい進んでいるのか、認知症を予防するには何が有効なのか、そのために自分はどのような行動を取ればいいのか、といったことについて、「知りたい」という気持ちを持ち続けてください。そんな気持ちで厚生労働省のホームページに辿り着くと、認知症を予防する「オレンジプラン」という取り組みが、国を挙げて行われつつある現状が分かってきます。

 

私自身の親もそうですが、とかく高齢者の方たちのなかには、「介護保険の世話にはなりたくない」という意識の強い人が多いようです。そのため、介護保険関連のニュースに対して、シャットアウトして触れようとしない傾向が見られます。ですが、介護保険も通常の年金と同様に保険料を支払っており、無償で国から援助を受けているわけではありません。ですので、介護保険は積極的に利用してよいのです。

 

不安に感じている事柄を避けるのではなく、あえて「敵を知る」気持ちになって、意識をそちらに向けるようにしていけば、認知症の予防や早期発見に役立つ情報が入ってきます。それが、10年後、20年後のあなたの運命を、変えるかもしれないのです。

 

また、「新しい情報を得よう」という意識そのものが、あなた自身を若々しく保つのに、大きな役割を果たしてくれるのではないでしょうか。むやみに恐れるのではなく、正面から立ち向かう気持ちを持っていれば、あなたの老後はきっと充実したものになることでしょう。

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』(幻冬舎)、『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社、共著)。

著者紹介

連載老後の財産管理に有用な「死後事務委任契約」「遺言」の活用術

本連載は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

 

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